マガジンのカバー画像

『四顧溟濛評言録』

20
私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中… もっと読む
運営しているクリエイター

2018年3月の記事一覧

「反動的新体制」の可能性−柳澤健『葡萄牙のサラザール』を読んで

 ここに柳澤健『葡萄牙のサラザール』という本がある。昭和16年(1941年)に改造社から刊行された書物である。これは或る時の古本まつりでベニヤ板の台の上に並べられた書物を渉猟している時、偶然に見付けたものだ。サラザールについて書かれた本が戦前に出ていたのかと非常な興味を抱き、その場で即座に購入した。200円であったと記憶している。巻末には附録としてサラザールの語録(齋藤太郎訳)が付いている。サラザ

もっとみる