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グリム童話から

死神の使いと死神の名付け親の2篇


2つの物語の死神は人間臭くて、とんまなところがある。
けれど物語の最後では、死神の威厳をもって、人間をあちらの世界に引き渡す。

⚪「死神の使い」:死神が大男に声をかけると、大男は死神を恐れず、大胆にも道で喧嘩する。あろうことか、死神をこてんぱにやっつけ道端に倒してしまう。死神は、「人間が死なずにこの世にのさばってしまったらどうなるのか」心配する。その姿を見た通りすがりの若者が気の毒に思って助けてあげる。お礼に若者に死ぬときは事前に使いをやって予告してあげると約束。それまで気にかけずに陽気に楽しく暮らせるようにと。

若者は、死を忘れ勝手気ままに生きていくがその後年を取り、病気になる。死神の使いは来なかったので、元気になったとたん、面白おかしくまた暮らした。しかしある日死神が連れに来たのです。「約束では使いをよこすと言ってたじゃないか」と文句を言う。死神は、「病気や元気を失ったり、歳とって、体がアチコチ痛んだりしなかったか。兄弟分の夜を眠らぬ夜はなかったろう。これらは使いの徴し。気が付かぬお前がうかつなんだよ」と諭される。とうとう諦め渋々と死神と旅立ってしまう。

⚪死神の名付け親:子沢山の父親が名付け親を探し、神様、悪魔でもなく、死神に名付け親を頼むことに。死神は治るか治らぬかピタリと当てる医者に育ててくれた。おまけに妙薬を授ける。但し死を司る死神が病の床に伏す病人を見て、「頭に立てば生きる、足元に立てば死ぬ」本当の診断名医である悪魔の手助けによる。彼の名は評判となり、国中に知れ渡る。王位の懇願により王の病を治す。

国王と王女の病も、本当は、死神の見立てでは死病。娘の王女を救ってくれたら、王位と姫を与えようという話に欲望に負け、死神を2度も騙す。悪魔が足元に立ってしまった。最期の診断をもう一回する直前に頭と足の位置を変え、妙薬も使い治してしまう。悪魔は怒り爆発、約束を破ったお前を許さずと言って、地下のほら穴に連れて行く。そこには、無数の人間の命の明かりが蠟燭となって炎が揺らめき、消えたり飛んだり舞っているよう。一つの消えかかってる蠟燭を掲げ、「これがお前の命だ」人間の懇願を叶えるかのように、大きな明りの新しい蠟燭に付け替えようとする。けれども、騙された死神は許さず。あえて素振りを見せつけて彼の小さな炎は蝋燭はひっくり返り、消えてしまった。


大小揺らめく光景は、子供心にどんな印象を残すのだろうか。今流行りの幻想的世界を闇夜に浮かびあがせるイルミネーションのイベントを思い起こすだろうか。

親、大人は死神をどのように
説明するだろうか。
貴方ならどうするか?
メメントモリ。


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