家族解散

「家族を解散します」
と、母は真剣な顔で僕の目をじっと見ながら言った。
それを聞いて僕は笑ってしまった。何故なら、その時読んでいた本が、糸井重里氏の『家族解散』という小説だったからだ。
そのタイミングと、台詞が小説内に出て来るものと一緒だったので、僕は笑いを隠せなかった。
母は不思議そうな顔をし、続いて家族のこれからについて語った。
僕が高校生の時だった。

父親が家を出て、兄は引きこもり、僕は登校拒否で、母親はヒステリーだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?