目釘抜きって、いいよね

2024年1月10日 19:59

目釘抜きとはなんぞや

「目釘抜き」というのは、目釘を抜くための道具です。
「目釘」というのは、刀の刀身と柄（つか）を固定する小さいパーツです。
目釘はほとんどの場合、竹を削って作られます。
ぎっちり詰まった繊維質が、折れたり割れたりしにくく、丁度良いとか。

柄には刀の茎（なかご）を差し込む為の穴が空いています。
当然、ただ差しただけだと振った瞬間外れてしまいますので、
柄と刀身を貫通させる形で目釘穴（めくぎあな）という穴を開けます。
そして、目釘穴に目釘を通すことで、振っても抜けないように固定します。

目釘は柄と刀身をしっかり固定するためのものなので、
隙間なく、ガタつきなく、ピタッときちっとはまる事が要求されます。
結果、抜くのも大変、って事があります。しばしば。
　

目釘抜き、色々

目釘抜きは、意外と色々な種類が販売されています。
まぁ、それもそのはず。
要は、ある程度の強度がある、先端が細い突起物なら目的は達成できます。
極論、箸を適当に切り詰めるだけでも、目釘抜きとして使えます。
ただ、だからこそ色々あって、面白いです。
　

【販売品】

多分、一番メジャーな形状です。
「刀剣お手入れセット」みたいなやつにはだいたいこれが入っています。
基本的には柄の一番下で突きますが、それでも目釘が抜けない場合は、
頭の上の飛び出た部分がネジ式で外れるようになっており、
ここを抜いて目釘に当て、ハンマー部分でコンコン叩いて目釘を抜きます。
　

柄巻師の弥仙様の同人サークル「相生堂」の目釘抜きです。
携帯に便利。アクセサリーのような目釘抜きです。
お出かけの最中、「あ、目釘抜きたいな」と思った時もこれさえあればOK。
色々な色や家紋のデザインがあるので、見ているだけで楽しいです。
　

藤安将平刀匠のサイトで販売されている目釘抜きです。
目釘の材料として最上とされる煤竹（すすたけ）でできた目釘抜きです。
こちらのストラップタイプで、携帯に便利。
本体の形状や根付紐の色など、完全ランダムという商品。楽しそう。
　

月光舎さんは刀匠の方々が作る一点物を販売されているサイトです。
そこで販売されている目釘抜き。こちらも刀匠のお手製です。
重厚感や時代感がすごいですね。プロの持ち物、という感じ。
　

【非売品】

鐔を作っていただいた片山様のブログに掲載されていた作品。
刀装具の笄（こうがい）の姿を模して作られた目釘抜きです。
風合いもデザインも素敵です。おしゃれ。これは一生モノですね。
　

短刀を作っていただいた助光刀匠の twitter に掲載されていた作品。
美術刀剣登録されなかった刀などを一定以下の長さに切断したものを、
残欠（ざんけつ）と呼びます。
ヤフオクで検索すると、色々と見つかったりします。
現代刀匠が古い刀身の残掛けを玉鋼に合わせて刀を打つ事があるのですが、
助光刀匠が茎（なかご）の部分を目釘抜きに作り変えたものです。
元が刀なので玉鋼製ですし、時代もあり、ロマンが詰まっています。
茎の目釘抜きは大人気ですが、材料の数が少ないんですよね……
　