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発達障害、大学を卒業してしまう

  頭がよくて、優秀で、だけど量産型とも呼ばれるいまの日本の教育。良いか悪いかは知らないが発達したシステムだと思う。多分、多くの人は年を重ねるほど身の振り方や頭の使い方を学び、すんなりと社会に溶け込むことができるのだろう。そんな友人達に、少し羨ましいと思っていた。
  でも生きづらさとかを自覚したことはなかった。上手くいかないこと、馴染めないことは自分にとっては日常で慣れっこだからだと思う。

  発達障害だと知ったのは2022年、大学4年の時。当時の社会情勢も相まって、ネットニュースの毒などに侵されていた時に、精神科へ行ったのがきっかけだった。鬱かなにかだろうと思ったので、その名を知らされた時は結構驚いた。でも、当時その言葉が少しずつ社会に浸透しだしていた頃だったので、これまでの人生で感じていたこと、言われていたことの原因を説明してくれたようで何故かほっとしたことを覚えている。

  脳が原因で起こると言われる発達障害。有名なADHDだと注意欠如や多動症といった行動が目立つそう。自分が貰った薬を調べてみると、社会コミュニケーションの困難さやこだわりの強さなどの特性を持つASDのものだったらしい。言われてみればどちらも思い当たる節はある。まあ正確に分類できるわけではないので自分がどっちかなんてのはどうでもいい話だ。診断書をもらっている訳でもないので、ちゃんと定義して公表するものでもないと思うし。

  馴染めなかったり、強いこだわりを持ってしまった話を全部挙げようとすれば枚挙に遑がない。そのせいでバイトとかをクビになったり、レポートが書けなかったり、部活のし過ぎで勉強が疎かになったりした。就活の面接で、「落ち着きがなかった」と評価された時はさすがに焦った。オンラインだったのに、さすがプロだ。
  普通のことが出来ないのか?というようなとこをよく言われる。大学入学時に比べると飛躍的に出来るようになったが、それでもまだ、できない。完璧な人に憧れて、なんでも出来るスーパー人間を目指したことがあったが、元々ミスが多い人間がめざしたところで、中途半端なことしか出来ない&出来ないことはできない人間が完成しただけだった。身分不相応な振る舞いは差し控えた。

 だからといって、ハンデを背負った悲劇のヒロインなのかと言われるとだいぶ違う。馴染めなくて苦労した分相手にも苦労をかけさせたはずだ。なのでどちらかと言うと敵キャラまである。あとちいかわでこんなやつ見た気がする。

 ただ、そんな敵キャラの私にも、福岡、広島でいくらかの友達ができた。部活や学生団体の仲間、学部のつながりなどで、声をかければ、気軽にドライブやご飯に付き合ってくれるような人を得ることができた。恋愛もまあ苦手な質だが、2年前から彼女がいる。周囲からはその子を逃したら終わりとさえ言われている。私に何らかの魅力があるのかもしれないし、それ以上にいい人に囲まれて生きてきたということだ。ありがたい話だが、これから住む場所でも同じとは限らない。自分の居場所は自分で作っていかないといけないのだ。

  自分にとっても、そして相手にとっても非常に扱いにくいこの特性。ゲームであれば“自分に合わないから”とキャラクターを変えればいいだけだし、他人からしても苦手であれば付き合わなければいい話だ。しかし自分にとっては一生付き合っていかなきゃいけないもの。だからこのクソ面倒臭い性能を乗りこなしていく必要がある。うまく使えているかは分からないが、いろんな人との交流を通じてだいぶ社会性は身についたと思うし、相変わらずミスは多いが行動力も手に入れた。あとはこれを使ってどう飯を食っていくか。今からはそれが問題だ。日本の教育に馴染めなかった人が、社会にたやすく馴染んでいけるとは到底思えないが、少し足掻いてみようと思う。


 

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