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子ども食堂に支援をはじめる


いまさらながら、子ども食堂って何

子ども食堂って既に市民権を得ている言葉になっていると思っていたのですが、子ども食堂に食材の支援しているんだって話をすると決まって返ってくるのが「子ども食堂って何?」って質問なんです。
検索すれば山ほど出てきますのでむすびえさんの子ども食堂とは、についてのリンクを貼っておきます。

こども食堂について – むすびえ (musubie.org)

現在(2023年)日本の子どもの7人に1人が貧困である、と子ども食堂で検索すると出てくるキーワードがあります。
貧困によって3度の食事が食べられない、栄養のバランスが偏っているなどの家庭の子どもさんに向けて一緒にごはんを食べよう、といった感じで始められている子ども食堂が多いと実感しています。

子ども食堂食材提供をするきっかけ

そもそも子ども食堂に食材支援をするきっかけは、私がスーパーで働いていて子ども食堂を始められる方からの提案が発端でした。

「子ども食堂を始めるから、食材を寄付してくれませんか?」

といった内容に対して、とてもいい取り組みだと思ったので

「もちろんです。店にある食材でよければ金額の上限はありますが、提供させていただきます」
と答えたのですが、思いもよらない返答が返ってきました。

「お店で捨てられている廃棄食材を寄付してほしいんです。私たちはフードロスを同時に減らしたいんです。」

ガツーン と頭に何かが落ちてくるような感覚を覚えました。
スーパーに配属されたとき、まだ食べられる食材を当たり前のように捨てていく現実に涙が出そうになりました。
米粒一粒でも残すと
「お百姓さんがどれほど苦労して作ったお米だと思っているんだ。」
「箸でとりづらかったらみそ汁をお茶碗に少し入れて米粒をすくうんだ」
と言われて育った自分としては食材の廃棄は目が潰れるような作業でした。

そんな中の廃棄食材(期限が残っているが管理基準が切れている)を提供するという提案は、こちらがお願いしてでも提供したいお申し出でした。

しばらく提供を続けていましたが、スーパーとしての取り組みは人事異動や慣習といった縛りの中、個人で続けるのは困難になり、地元の子ども食堂の方とグループを作りネットワークの事務局として提供物を繋げる取り組みに変化させました。

繋がりづくり

地元の子ども食堂の代表の方同士に集まってもらって、お話した内容を地元のコミュニティFMラジオで放送する取り組みを行いました。
子ども食堂の代表同士といっても初めましての方が多く、ボランティアの貸し借り、食材提供の情報共有、子ども食堂のノウハウの共有など、何でも話せるグループLINEを作りました。
そのグループLINEが今でも大活躍しています。

地元の農業従事者の方と、農協や産直市を通じて繋がり、まだ食べられるのに圃場で廃棄されたり、売り物にならない傷物の農作物を提供してもらって子ども食堂に配達しました。
農家によっては、活動を支援する為、わざわざ子ども食堂に提供する為に農作物を作る方もいらっしゃいます。
圃場で廃棄される農作物については他の子ども食堂のスタッフの方と一緒に収穫に伺うこともあります。農家にとっては廃棄する物を収穫する事は手間でしかありませんので、そのあたりは出来るだけ収穫から配達までをこちらで受け持つようにしています。

地元の子ども食堂同士が協力して広報イベントを実施したりもしました。
全国子ども食堂交流会イベントにのっかって、駅前広場で子どもたちと地域を散策したり、おにぎりや暖かい豚汁を食べて過ごすイベントは大盛況でした。

見えてきた新たな問題点

子ども食堂交流会というFacebookグループや、地元の子ども食堂ネットワークなどを通じて子ども食堂の代表や関わっている方と繋がっていると、様々な問題点がわかってきました。

貧困の子どもに温かい食事を提供したいという想いから始めた子ども食堂も、実際は貧困の子どもが来ていない、支援が届いていない現実がありました。
貧困の子どもは自分が貧困だという姿を見せたくないので、貧困の子どもに限った食事提供では対象の子どもは来てくれません。
貧困を隠す意味でも、子どもなら誰でもOKにしている子ども食堂が多いのが現状です。
格安で手作りの食事が食べられる、コロナ禍以降ではお弁当タイプの食事提供が増え、ますます貧困とは縁遠い家族への提供の割合が増えていきました。
子どもに食事を提供するという取り組み自体は地域の子ども会のイメージで決して悪い取り組みではありませんし、価値ある活動なのですが、最初の志が貧困の子どもへの支援だった子ども食堂が誰でもOK(コミュニティ型)になってしまっている現状があります。
非課税世帯やシングルマザー、ファーザー、多子家庭など限定的に提供を行っている子ども食堂もあります(ケア型、支援型) ただ、家庭事情の把握には行政や地域とのつながりが不可欠で、プライバシーに関わる情報の為、簡単には支援に繋がりません。

障がい児(者)への支援

そんなモヤモヤな中、障がい児が通う放課後等デイサービス事業所の方とお話しする機会があり、貧困の子どもの割合が多いことを知りました。(詳細な割合はわかりませんが)
また定型発達の子どもとの繋がりが少ない為、子ども食堂に食事を食べに行く発想もありませんでした。

もう一つ、大きな気づきがあったのは、若年層の障がい者のグループホームに行った時です。
就労支援事業所で働きながら、グループホームで一人暮らしをしている数人の若者と話していると、所得が少なく、大好きな映画に行くには毎月100円、150円といった小さな貯金をして年に1回の映画を見に行くのがとても楽しみだと言っていました。
食べたいお菓子やお肉を控えて映画を見に行くのが楽しみだと語っていた彼の姿を見て、子ども食堂の違った提供先を見つけた気がしました。

まとめ

目に見える貧困、目に見えない貧困がある とよく聞きましたが、声なき声に耳を傾け、森をみるだけでなく木も見なければ見えない社会がある。
そんな学び得ました。


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