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長崎県島原市に移住しました - 前編

5月に40年以上住んだ神奈川県を離れ、長崎県の島原半島に移住しました。島原の乱とか30年前に噴火した雲仙普賢岳がある島原です。

なんで島原なのか?

というと自分の本籍地が島原だからで、そこに300年くらい続く(らしい。資料は火事で消失)本家があります。ウチは祖父から分れた分家で、二代越しでUターンした形です。祖母の実家も島原にあって。父はどちらにも子供の頃長期休みの度に預けられてたとのことで、思い出話を事あるごとに聞かされてました。家族で何度も訪れていて、いつの間にか島原が帰るべき故郷というのが共通認識になってしまった。

話が変わりますが、自分はコロナ前までは毎年インドネシアのバリ島に旅行してて、4回くらい行ったところでもう移住したほうがいいのでは?というくらい入れ込んでました。結局10回行ってる間に気づいたんですが、島原半島ってバリ島とかなり似てるんですよ。活火山があって、水が豊富で、段々畑があって、海に囲まれてる。流石にバリみたいな芸能文化はないけど、風土とか自然環境が近くて、何よりインフラが日本クオリティで日本語が通じる(笑)だったら島原に住んでもいいのでは、と。

バリ島のジャティルイ(世界遺産)
南島原の親戚の家のそば

それ以外に、KURAYAMIというアーティストとしての生き方や、この先10年20年を見据えた自分を取り巻くさまざまな要因から演繹した上で判断しました。

島原について

長崎県は島と陸地が絡まったすごく複雑な形をしてます。南東部に島原半島があり、その中の雲仙市、島原市、南島原市が合わさって島原エリアです。自分が住んでるのは島原市、本籍があるのが南島原市なので、主に半島の東側について書きます。

島原は雲仙岳が供給する豊富な水資源と温泉、有明海が供給する海の幸に恵まれた地域です。水が美味しいのであらゆる食物がうまくて、生鮮品の物価もかなり安いです。

浜の川湧水にある伝説の甘味屋、銀水

特に水は、至るところに自由に使える湧き水場があります。個人的に世界一美味い水だと思ってる本家の湧き水を汲んできてるので、市販のミネラルウォーターとは無縁になりました。料理もコーヒーもその水を使ってます。炭酸水メーカーを買ったら予想通りメチャクチャおいしくて、おうちハイボールが捗る!

島原半島は雲仙岳に限らず裾野まで温泉が湧いてます。海沿いには南風楼ホテルシーサイド島原東洋九十九ベイホテルといった温泉宿があって、どこも海を眺めながら温泉に入れる。伊豆の伊東とか下田に似てるかもしれない。特にシーサイド島原は自宅の目の前にあって、(かなり珍しい)天然炭酸泉の立ち寄り湯に外湯感覚で通ってます。

その他にも島原城キリシタン文化の世界遺産イルカウォッチングなどの観光資源も豊富。最近は島鉄(島原鉄道)大三東駅や銀水を始めとしたCMやドラマ撮影スポット、インスタ映えスポットが人気です。

ただ、半島なので旅行の通過点にできず、空港がある大村や諫早からの陸路にしても熊本からの海路(フェリーがある)にしても時間と費用が嵩むため、交通アクセスがかなりのボトルネックとなってます。その為県外からはなかなか選ばれづらい観光地ですが、これはどうしようもない…。

また娯楽や産業に乏しいので、特に若い人の流出は歯止めがかからないようです。それでも住み心地は抜群に良くて、最近はECや物流の発達、郊外型のチェーン店の進出で、ネットと車さえあれば生活にはほとんど困りません。学校を卒業したら福岡などで働いて手に職がついたら帰ってくる、というのは結構スタンダードなようです。不動産屋さんに聞いた話だと、テレワークで長崎市内から移住してくる人も増えているとか。

アーティストとして地方に移住する意義

自分はKURAYAMIというアーティストとして生きることに決めてます。この思考の根底については別に書く予定ですが、移住に際して考えたのは、主に場所と精神の関連性です。

ひとつは地域性や場所を振り切る活動がしたい、ということ。都心はすぐに人が集まってくれるしありがたいんですが、そこで満足しちゃうんですよね。一方地方にいても存在感を感じさせるアーティストが沢山いて、当然難しさがあるはずですが、その壁にブチ当たって出る輝きって尊いし、憧れがあって。また周辺情報が極端にスポイルされることで、自分の音に没頭できることを期待してます。

もうひとつはある意味逆で、ルーツの土地に根ざすことで出来る表現があるのではと思ってます。都心や神奈川って受動的に遊んで楽しかったり便利なだけで、自分で思う以上に街や環境に思い入れがないことに、最近気づいて。例えばフィールドレコーディングなんかでも、場所に思い入れがないから、録ってみても表現に成らない。島原は以前から写真やフィールドレコーディングに適した魅力的な素材が多いなーと思っていて、でも年に一回、2泊3日で来てもどうもできないし、季節の移ろいの中で感じられることがあるはずで。他に何が出来るかまだ思いつかないけど、ここならではという活動が出来ればと思ってます。

また一方で、今はSNSや動画サイト、VRを利用して場所に関係なく発信できるので、表現にとって地域性って希薄になるのかもしれませんが、それはそれで。自分はもともと年3、4回しかギグがないし、それくらいで丁度いいとも思ってます。年1、2回くらいなら移動コストが高いにしても、休み取って行けば出来なくはないし。なら以前とさほど変わらないかな〜、と楽観してます。

後編に続きます

長くなったので、実際の移住までの出来事は後編にて。

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