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大コケしてしまったダウンタウン松本の伝説の映画デビュー作「大日本人」をレビュー

みなさん、さあ平成最大のお笑い芸人であったダウンタウン松本がとんでもない事になっているのは周知の事実だろう。

これについて俺はとやかく言うつもりはない。

まあ、火遊びのしすぎで身を燃やしてしまったね…というぐらいか。

記事が本当だったら遊ぶ相手に渡すのは3000円は舐めすぎだろ…としかいいようがない。

これがプロだったら3万円はするだろう、実を言うとプロが嫌だったというのは所詮金がかかるから、程度の事だったのではないだろうか。(記事が事実であるならば)

話が、それてしまったが個人的にダウンタウン松本は結構好きなお笑い芸人であった。

やっぱり「ダウンタウンDX」「ごっつええ感じ」などは好きでした。

だけど個人的には、それ以上に「映画監督としては失敗した残念な人」というイメージの方が強かったりする。

というのも、ダウンタウン松本といえば「月間!エンタテイメント」で「シネマ坊主」という記事を書いていたのだ。

その際に「スパイダーマン2」を批判したり、アメコミ映画に対して「アメリカ人はレベルが低い」などといって嘲笑していたのだ。

当時ダウンタウンが好きで、アメコミ映画も大好きだった高校生の僕は衝撃を受けた。

そんなこんなで、2007年ダウンタウン松本は映画製作を行った。

それが今回紹介する「大日本人」である。

個人的にだが、後に作る「しんぼる」や「さや侍」は本当にしょうもなかったが、「大日本人」については意外と好きな部分もあった作品だった。

まず、当時としては邦画最先端のCGで表現されている大日本人や怪獣たちの数々はまず中々巨大感・実在感がうまくでている。


当時の邦画のクオリティを考えると及第点レベルのCG

ぶっちゃけて言えば、この10年後近くに製作された「シン・ゴジラ」よりも上だったんじゃないかとすら思えてくる。

この辺りはまだこの時代勢いがあったダウンタウン松本のコネの強さがみえている。

当然本作は企画・製作・監督はダウンタウン松本自身が行っている。

また、ストーリーも「ウルトラマン」がベースなのだが、設定は面白い。

かつて、怪獣討伐を行い世間からは英雄として称賛されていた大日本人の一族の生き残りであるダウンタウン松本だが、現在では世間では蔑まれ離婚した女房から養育費をせびられどやされている情けない主人公として登場する。

この描写は後に「しんぼる」で自らを神様のように表現していた時と違い、自らを卑下して描く度量はあったのだろう。

日本を守るために怪獣と戦っているが、家に石を投げられたり落書きされたり悲惨な状況になっている。

この悲壮感は、「ウォッチメン」に登場するかつてのヒーローたちを彷彿とさせる悲しさがある。

恐らくここでダウンタウン松本は自身が愛していた特撮ヒーローの状況を重ねて、描いたつもりだったのだろう。

最終的に、劇中終盤は政府からも厄介者扱いされたダウンタウン松本扮する主人公は、公安に自宅を急襲されるなど悲惨の極みになっていく。

そして、ダウンタウン松本は最終的に最強の赤鬼怪獣相手(明らかに北朝鮮の暗喩)に戦う事になるのだが…。

ここでダウンタウン松本は映画監督として最低・最悪の行為を行ってしまう。

なんと作中それまで行っていたシリアストーンの映像・作劇を放棄しコントに走ってしまうのだ。

これにはがっかりだ。

それまで日本最高レベルのCGで製作されていた大日本人や怪獣たちは「ごっつええ感じ」のコント風で登場する。

これがまあ、本当にサムい…。


ダサすぎるぞ松本…。

で、最終的に大日本人が苦戦した怪獣はウルトラマン風のキャラ(アメリカの暗喩)にボコボコにされてしまい、大日本人はそれに救われて彼らの打ち上げに参加するというゴミみたいなエンディングを迎えて映画は終わるのだ…。

恐らくダウンタウン松本的には「それまで描いたのは全部コントでした」というのをしたいのだろうが、劇映画でこれを行うのは最悪の行為だ。

しかもぶっちゃけこの劇中にあったことを棚上げして世界観をガラリと変える展開は「ジャージー・デビル・プロジェクト」ですでに行われているのだ。

恐らくダウンタウン松本的には北朝鮮(赤鬼)・アメリカ(ウルトラマン風のキャラ)・日本(大日本人)の関係を皮肉にしたかったのだが、暗喩がわかりやすすぎる。

そして風刺がヘタクソすぎる…。

そして、上記の「シネマ坊主」では本作を100点満点みたいな感じで自画自賛していたのだ。

まあ、恥ずかしい…。

最終的に持ち出した国際映画祭では見終わった海外の評論家からは拍手すら起きなかったのだ…。

そんなこんなで、それまでよかったものを全部棚上げしてメタで片づける最低なオチで台無しにしてしまった「大日本人」だが…これで大コケしたにもかかわらずダウンタウン松本はその後も映画製作を行ったのだ…。

ちなみに「しんぼる」はもーっとできがひどいぞお!

正直これは現在騒がられているセクハラ問題よりも恥ずかしいと思うぞ、松本さん、

そんな感じで本作は

30/100点


ちなみに本作は完全にダウンタウン松本には黒歴史になってしまったらしく、自ら自虐する方向性にはもっていかなかった。せめて番組で自らネタにすれば方向性が違ったのにね(笑)

こういうダサいところがあるから女性から文春から暴露されるんじゃないか??松本よ…。



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