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公開初日に達成。個人理念を屋外広告に掲載したクラウドファンディング。正解がない時代の選択基準とは?

GCストーリーのメンバーはそれぞれ「パーソナルミッション(個人理念)」を持って働いています。個人の生きる目的と仕事の繋がりを意識するためですが、選択肢が多い時代には特に「自分がなぜ働くのか?」「どう生きたいのか?」を問い直す機会が多いように感じます。
今回は個人理念を屋外広告に掲載するクラウドファンディングを企画、実行した株式会社サインコサイン代表取締役・加来幸樹さんにお話を伺っています。

公開初日に達成。個人理念を屋外広告に掲載したクラウドファンディング

ー個人理念を屋外広告に掲載するクラウドファンディングですが、SNSでもシェアされている投稿を多く拝見しました。
本当にありがたい限りですね。

ープロジェクトを始めたきっかけについて伺ってもよろしいですか?
このプロジェクトは株式会社CAMPFIREがThe Breakthrough Company GOと連携したサービス AD FOR ALLを使っています。個人が広告を出せる仕組みで、このサービスのリリースが出た日に、これを利用して個人理念を啓蒙する使い方が出来るかもしれないと思って、ここで働いてる知人に話を聞いたら「是非やりましょう」と始めることになりました。元々個人理念が大事だとは思ってましたし、それを世の中に出していくのはやってみたかったんですよね。

ーそもそも日常生活で個人理念を考える機会が少ないですよね。他人に伝える機会だとなおさら少ないかもしれません。
面白いと思ったのは、この屋外広告を観た方がInstagramでストーリーズに「この理念に共感しました」と載せてくれたんですよね、
個人理念に共感する方と何かコンタクト出来る仕組みがあれば、気が合うパートナーシップを発揮出来るんだろうなと思うんですよね。支援してくれた一人からは「個人理念を広告に掲載したメンバー全員が集まる飲み会をやってほしい」と言ってもらえたりしています。理念が人と人が出会うきっかけになっていくとより良いだろうなという気がしています。

ー肩書きだけじゃなく「問い」や「こう生きたいと考える理念」で繋がるのもいいですよね。
すごくそう思います。
会社選びも「理念に共感して」と言う方がいるかもしれないですけど、やっぱり具体的な仕事や年収などを見てしまいがちな部分はありますよね。

Pinterestに形容詞の明確化。個人理念を作るヒントとは?

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ー加来さんが経営されているサインコサインさんは企業の理念策定が事業なんですよね?
サインコサインは「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」を企業理念として掲げています。主な事業としては、企業理念を一緒に作ったり、あとはブランドや商品のネーミング、タグラインなどの共創を行っています。その過程の中で、大きく言ってしまえばご本人に覚悟を持ってもらうのが基本的な提供価値であると考えています。

ー個人理念策定のプロセスに関するスライドを拝見しました。「言葉」だけでなくPinterestを用いたビジュアルも使われるんですね。

Pinterestはもともとセプテーニのデジタルマーケティング事業でクリエイティブの仕事をしていた時から使っていました。最初から言葉で考えてしまうと、どうしても建前や、世の中的な正解をみんな言ってしまいがちです。ビジュアルから着想して話すと、よりひらめきが生まれやすくなるということもありますし、共通言語としてのビジュアルがあるので対話もとても弾みやすくなったりするんですよね。

ー加来さんが企業や個人の理念を一緒に作る上で、気をつけているポイントがあれば伺ってもよろしいですか?
ヒアリングシートや質問リストがあると思われがちですが、僕は「なるべく何も聞かずに本人に喋ってもらうにはどうすればいいか」、何も聞かなかった時に「この人が何を言うのか?」はすごく重要なポイントだと思っています。ですからなるべくオープンクエスチョンで聞くようにしています。

ーイエスかノーで聞かないんですね
「イエスですかノーですか」で聞くと「そうですね」と無意識に本音ではない答えが返ってきてしまうことがあるからです。もっと理想を言えば、クエスチョンをせずにアンサーをもらうのが大事かなと思っています。「今日はいい天気ですね」みたいな世間話から話し始めて、そこを基点に質問をしていくと、たどり着くべき所にたどり着きやすくなるんですよね。
加えて心から共感するのは大事です。「そうなんですか」「面白いですね」「僕もそう思うんです」と伝えると相手が自分から喋りたい話をどんどん出してくれるようになります。
むしろ、質問するよりも共感して乗っかるほうが重要だと思います。

ー雰囲気作りで気をつけているポイントはありますか?
共感しながらもまずは自分の話からどんどん話したり、他にも「否定しない」ことですよね。基本YESから入って「そういう考え方もあるのね」って言います。別案を提案するにしても一回受け止めた上で別の道を提示します。
僕は理念を作る仕事をしておきながら自分の中の強いこだわりが全然ない人間なんですよ。だから逆に出来るのかなって気もしています。素直に「それもいいな」と思えちゃうので、たまたまこういう仕事が向いてたのかもしれません。

加えて、話していく順番も重要です。いきなり第一問で内側を突く質問だとさすがに相手も「え?」と戸惑ってしまいます。なるべく答えやすい質問から順番にしていくのがいいと思います。「今日は何時に起きたんです?」「昨日は何食べましたか?」などの質問だと、確実に答えがあるので返しやすいんですよね。そこから少しずつ「なぜそれを選んだんですか?」とか「そこにあるあなたのこだわりって何なんでしょうね」と徐々にオープンクエスチョンにしていく順番がいいと色んな所で教えられて来ました。そして答えがないものに対して相手にだけ聞くより「ちなみに僕の場合はこうなんですよね」と、自分側もさらけ出していくと相手も一緒に乗ってくれることが多いです。

ー雰囲気作りや問い以外にも明確化させるポイントがあれば伺いたいです。
相手がよく使う形容詞の意味合いをクリアにすることはありますね。
「面白い」「美しい」「かっこいい」などの形容詞は解釈が多様ですよね。

例えば、僕は「面白い」をよく使うのですが、その人がよく使っている「形容詞」に注目し、その言葉は「あなたにとってどういう意味ですか?」「あなたの辞書に面白いの説明は何と書いてありますか?」と聞いたりすると、その答えにその人の核心が隠れている可能性はよくあります。

正解がない時代だからこそ「個人理念」が判断基準になる

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引用:羅針盤となる理念のつくりかた|MTDDC Meetup Tokyo 2020

ーこれからより良く生きるためには本当の自分の思いに気づくというか、自分に素直になる重要性が上がってるんですかね。
今までももちろん正解があった訳ではありませんが「生き方として良しとされるルート」はあった気がします。正解っぽいことを共通認識として持ってたり、ある程度立場が上の人だったら答えを持っていたりする感覚もありました。
ただ、現在はすごく選択肢が増えている状況で正解がないし、あったとしてもルールがすぐ変わります。だからこそ選択する羅針盤が「自分に素直になる」こと、つまり個人理念を掲げることの重要性が高まっていると思っています。

ー自分に素直になるために具体的に取れる行動やヒントはありますでしょうか?
何でもいいからやってみるしかないと思います。本当に小さくてもいいのですが、自分で決めたことをやる感じです。

「noteを書く」「Tweetする」何でもいいと思います。自分から行動を起こすとポジティブでもネガティブでもリアクションが来ます。あるいは意外と何のリアクションも来ないことも含めてフィードバックだと思うんですよね。フィードバックがあるともっと頑張ろうと思えたり、やってみて違った行動も分かります。

ー「分かって、やってみる」ではなく「やってみて、分かる」なんですね。「やりたいことが見つからない」はよくある話ですよね。
「やりたいことを見つける」よりも「やってみた後にこれがやりたかった」と後付けで認識するしかないんじゃないでしょうか。どんなに小さくてもいいのでやってみるのが良いサイクルを回していくための第一歩なのかなと思います。
昔PDCAサイクルではないOFMIサイクルっていう、アウトプット(Output)、フィードバック(Feedback)、モチベーション(Motivation)、インプット(Input)についてのnoteを書きました。

ー行動によって変わっていくんですよね。僕たちのパーソナルミッションも人生のフェーズによって変わっていい考えで作っています。

いいですね。
行動するために個人理念を掲げることでより良い行動が出来て、もっと具体的になっていく。そこのスパンは人によって様々だとは思います。作る瞬間は変えないつもりで作って、行動した結果変わるのは全然いいことなのかなって思います。

ー加来さんご自身の今後やりたいことを伺ってもよろしいですか。
サインコサインの「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」の理念から、アウトプットしてるにも関わらずフィードバックが少なくなってしまっている人達もいるよなぁと思います。例えば、アーティストや表現してる人達ですよね。もっとアーティストの後押しをやっていかないといけないなと。
大袈裟に言えば、理念を掲げることは人間そのものが表現者、アーティストに変わることだなと思っています。
もっと人間をアーティストにしていく、スタートはアーティストを支援していく所からだと思います。
言葉を作るだけじゃなくその先、もっとみんながクリエイティブな形でアウトプットしていく所にまで関わっていけるとさらに面白そうだなと、考えています。

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【プロフィール文】
加来幸樹さん
株式会社サインコサイン代表取締役。
1983年福岡県生まれ。九州大学芸術工学部卒業。2006年にセプテーニに新卒入社し、デジタルマーケティングのクリエイティブ領域を中心に様々な顧客の課題解決を支援した後、2018年にサインコサインを設立。「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」を信念に掲げ、企業や個人の理念、ブランドのネーミングやタグラインなど覚悟の象徴の共創を通じて「覚悟」のデザインを支援している。

取材・編集・文/佐藤政也 デザイン/熊谷怜史

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