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K-153 シセロ胸像

石膏像サイズ: H.75×W.47×D.32cm(原作サイズ)
制作年代  : 紀元前1世紀頃
収蔵美術館 : パリ6区・マザラン図書館

共和制ローマで政治家・哲学者・文筆家として活躍したシセロ(キケロ Marcus Tullius Cicero B.C.106-43)の肖像彫刻です。原作は、パリ・6区にあるフランス最古の公立図書館(1661年創立)のマザラン図書館に収蔵されています。この図書館は、愛書家として有名だった枢機卿マザランが自身の蔵書を元に創立したものです。この彫像が展示されている理由は、古代ローマのシセロの残した著作・思想が、フランス啓蒙主義時代のモンテスキュー、ヴォルテール などに多大な影響を与え、共和主義、民主主義の象徴としてフランスではとても重要視されているためです(逆に隣国ドイツに於いては、フランスに対抗する形でシセロを批判しその対抗馬だったカエサルが支持されることが多かった)。

シセロは無名の家系の出自ながら、弁護士としての実績を積み重ね、様々な政治的な困難を乗り越えて、当時のローマ共和制の政治的最高職である執政官(コンスル)にまで上り詰めた人物です。その後はカエサルの台頭~暗殺の流れの中で、後継者のアントニウスと対立することになり、最終的に暗殺されてしまいました。シセロの思想・哲学は現代でも高く評価されていて、後世のヨーロッパの知識人達に絶大な影響を与えました。特に14世紀イタリアの人文主義者ペトラルカが称揚したことで、シセロの作品はラテン文学における必読の書とされました。

※かつて日本国内でこの石膏像が「カント胸像」として流通していましたが、それは誤りです

パリ6区・マザラン図書館収蔵 シセロ胸像
(写真はWikimedia commonsより)


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