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S-211 聖ジョルジョ首像

石膏像サイズ: H.56×W.23×D.30cm(原作サイズ)
制作年代  : 1416年頃
収蔵美術館 : フィレンツェ・バルッジェロ美術館
作者    : ドナテルロ(Donatello 1386-1466)

初期ルネサンスを代表する彫刻家であるドナテルロが、オルサンミケーレ教会の外壁龕のために製作した作品です。

聖ジョルジョ(ゲオルギウス)は、カッパドキア出身の実在のローマの軍人でした。ローマでまだキリスト教が異端の時代に、キリスト教を崇拝した罪で処刑され、殉教者となりました(303年頃)。当初は単なる殉教者ゆえの聖人として讃えられていたのですが、時代が経つにつれてさまざまな伝説が付け加えられてゆきました。

最も有名なエピソードは竜退治の伝説です。カッパドキア(現在のトルコ)のルシアという町に、悪い竜が出没しつぎつぎと生け贄を要求して人々は困り果てていました。そこへ通りかかったジョルジョは竜と対峙して生け捕りにし、町まで竜を連れ帰ります。人々に「キリスト教徒になりなさい。そうすれば、この竜を殺してあげましょう」と問いかけ、人々はキリスト教を受け入れることになったというもの。

またジョルジョが殉教した経緯としては、異教の王に囚われたジョルジョは改宗を迫られるもののこれを拒否、
①全身を釘で引き裂かれ、塩をぬりこまれる
②毒を入れたぶどう酒を飲まされる
③剣のついた車輪にしばりつけられてゴロゴロと回される
④煮えたぎる鉛の風呂に入浴、
などの拷問の嵐を受けます。それでも神の加護の力によって、頑強な体になっているジョルジョは平然と立ち向かい、あまりのことに恐れをなした王が、ローマの神々を崇拝しキリスト教を捨てれば許すと譲歩したのですが、ジョルジョはそれでも改宗をこばみ、斬首されてしまいます。その後、ジョルジョを迫害した人々は、神の怒りに触れて全滅したということです。こういった聖ジョルジョに関する伝説は、11~12世紀ころに生まれたようです。

ヴェネツィア・ルネサンスの画家、ヴィットーレ・カルパッチョ作 「聖ゲオルギウス」
(写真はWikimedia commonsより)



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