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Salesforce導入して10年が経った

ということは、私がリバネスのCIOになってから10年が経ったということ。
電気電子工学出身ということだけでその責務に就いて10年。色々ありましたが幸いなことにリバネスの成長にボトルネックを作らず、むしろ加速させることができた10年になったのかなと思っています。
その10年を振り返ってプレゼンテーションにまとめてみました。興味がある方は以下の画像にリンク貼ってありますので御覧ください

Salesforce10年の歩み

リバネスはなぜSalesforceを採用したのか

11年前のリバネスはGoogleスプレッドシートで売上集計を行っており、それはそれは大きな問題となっていました。幸いなことに当時リバネスは上り調子になってきており、取引先数・商談数ともに増加していました。今スプレッドシートで集計するとどうなるかはわかりませんが、増えてきたレコードをスプレッドシートの集計関数で表にするみたいな使い方をすると計算リソースが足りずに数分固まるみたいな感じになっていました。
分かりやすいボトルネックとしてITが表出した瞬間でした。このままじゃヤバいなと思ったところで出会ったのがSalesforceだった訳です。

なんでSalesforceだったのか?

それこそサイ◯ウズとかあったのに。という点については、当時からリバネスは世界に出ていくということを念頭においており、日本のツールではなく世界標準になりうるものを選ぶということで選択しています。価格的には高かったんですけど、今となっては良かったのではと思っています。まもなく日本:海外メンバー=2:1位な感じになりますし、数年後には対等の人数規模になるでしょう。

SaaS導入状況

今現在の導入状況はこんな形になっています。
大体のことがSalesforceのエコシステム内で動いている状況です。これらを使ってどのようにビジネスを広げていくのかが大事で、それを動かしてきたのがこの10年と言えます。
SalesforceのSales Cloudといえば商談管理ツールと言えますが、今やそこには人間が入力する情報のみに頼ったものではなくEinstein(AI)が導入され、まもなくEinstein(生成AI)がやってきます。(英語圏はかなりGAになっています)
CRMを使うのは基本的にITのスペシャリストではないはずなので、生成AI版がやってくるのは非常にポジティブなことでしょう。黎明期のEinsteinは専門家向けツールだと言えると思いますし、これを使いこなすには結構なスキルが必要です。
2023年にDataCloudの構築をスタートした訳ですが、これは生成AIが活用しうるデータをGUIでハンドリングしやすくするための基礎的なツールとして機能します。これを使うことで生成AI時代のSalesforceのForceが強くなる訳なのです。

Account Engagement(formally Pardot)も進化した

2019年からAdvanceプランを使っているのですが、これはEinsteinを活用できるためです。元々はEinsteinスコアリングという直近一年の活動をもとに100点満点でプロスペクトの活性度を可視化してくれる機能です。従来の積算型のスコアリングだと何もしないと上限が無限になってしまうので、単純に古くから登録されている人が上位に来てしまうのですが、Einsteinスコアリングによってそれが解決されるというものでした。これは何度か登壇で話したことがあります。
これに加えて、Einstein配送時間最適化という機能がローンチされています。これは何かというと、スコアリングができるということは、Pardotは各プロスペクトがいつどんなタイミングでメールを開き、Webにアクセスし、リンクをクリックしたのかというデータを持っています。この人は何曜日の何時頃が一番活性度が高いのかという情報を把握しているんですね。
Einstein配送時間最適化はこの情報をもとに、最大1週間を指定するとその中で一番メールが開かれる時間を選んでメールを配送する機能です。
僕が一番好きなEinsteinです。これこそAIがやるべき仕事じゃありませんか。素晴らしいと思う。これを実装した人は天才だと思います。

SlackのAnalytics

風通しの良い組織をSlackで作ろう

導入したときはまだSlackとして独立していたので、Salesforce製品の導入というとちょっと違う感じではありますが、2015年からSlackを使い始めました。
2015-2019はパブリックチャンネルよりDM連絡のほうが多かったリバネス。そう、風通しの良い組織というのは一朝一夕には作れないのです。
Before Slackの弊社は、Google Meetsを使っていました。それ以前はGoogleグループ(メーリングリスト)です。これは基本的にホワイトリスト方式で連絡先を選択します。つまり選択した範囲にのみ情報が届くという思想です。メールの仕組みと同じなんですよね。
リバネスはそうではなくて、個々人が色んな活動をして情報共有の蓄積をすること知見を蓄積し、後々情報が欲しい人は検索すれば見つけることができるという組織を作りたかった。それで選択したのがSlackです。
そういった訳で、最初はホワイトリスト脳だったリバネスを徐々に情報の風通しの良い組織へと変革してきました。
これも過去に何度か言及していますが、リバネスの行動原理には「蓄積・開示・分析・統合」というものがあります。特にSlackに関わるのは最初の2つである蓄積・開示です。この重要性をとき、最終的に97%が公開チャンネルという状態まで持ってくることができました。
リバネスは過去の財産を持ち歩ける組織となったと言えます。

分析・統合はどうなった?

これは実は今までは結構たいへんでした。CRM AnalyticsやTableauを使ってダッシュボードを作って行うということをまず行い、商談の単価を上げて商談件数を減らすという取り組みはBIをうまく活用して組織変革に繋げたなと個人的には思っていますが、このように数字で表せるものばかりではない訳です。
蓄積されるのは構造化データのみではなく、自然言語で書かれた文章も多分にあります。何なら音声ファイルや動画ファイルといったテキスト化されていないデータなんてものも蓄積されている訳です。

生成AIは福音である

昨年からParty on Slackの開発を通して生成AIを如何に業務に取り込んでいくのかを考え続けてきた訳ですが、おそらく生成AIがこれらのデータについての分析・統合を補助してくれます。
昨今、データのインプット・アウトプットの量(トークン数と言います)は増えており、ある程度の長文が簡単に解析できるようになっています。蓄積してきたデータを生成AIがハンドリングし、必要な情報のみを人間に渡してくれる。そんな機能を提供することができるようになると感じています。
Salesforceプラットフォームにも生成AIがどんどん入り込む事になっていますし、いずれ日本語環境でも問題なく使えるようになるでしょう。(個人的にはすでにある程度は行けるんじゃないのと思っていますが)
情報のキャパシティを脳みそが超えている昨今の悩みを解決できるタイミングが近いうちに実現するのではないかと考えています。

HerokuとDataCloudとSalesCloud

リバネスはステークホルダーとつながる時にリバネスIDという個人レコードを発行しています。彼らがこれまでどんなことをやってきたのかが全て紐づいているレコードです。
このレコードはSales Cloud内のリバネスIDオブジェクトに格納されており、紐づくデータはLID-DATAというオブジェクトに存在しています。リバネスID一つを見れば何をやってきたのかがひと目でわかるという状態です。
このデータはSalesCloud内でスタッフが入力したデータのみではなく、Heroku上に構築したWebアプリから個人が入力した情報が同期するようになっています(Heroku Connectと言います)
これに先程紹介したAccount Engagementからのデータが接続するのがDataCloudとなる予定です(GA待ち)
SalesCloudとHerokuによってあらゆるステークホルダーの情報が蓄積される状態を作ることができました。DataCloudを使うと、人間が入力するようなデータのみではなく、Webアクセス状況のようなストリームデータとして入ってくるようなものを接続することができるようになります。リアルタイムにデータが入ってくる状態を作ることができると何が起きるかというと、接触しているタイミングでレスポンスを返すことができるようになるということです。

with Marc
これまで関わっていただいた皆さんに祝ってもらいました。大感謝

以上が我々の10年の軌跡です。
2022年にはリバネスナレッジというITの仕事ができる組織を立ち上げました。これまでに公開してきた情報はこのnoteやQiita講演スライドの中に全公開してあります。

Salesforceエコシステムの中でやってみたいことがあれば是非ご相談ください。ITを使い倒せる組織を増やすというのがリバネスナレッジのモットーです。是非

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