閲微草堂筆記(190)槐鎮の僧
巻二十三 槐鎮の僧
私が十歳の頃に聞いた話では、槐鎮(槐鎮は『金史』にある槐家鎮のことである。今は淮鎮と書くがこれは誤りである。)に一人の僧侶がいた。彼は農家の息子で酒を飲み、肉を食らうことを好んだ。その廟は数十畝の田を所有しており、彼は自ら種を植え、自給自足の生活を送っていた。牛を放牧すること、田を耕すことのほかは、あらゆることを知らなかった。
経巻や法具をまったく備えていなければ、僧帽や袈裟までも何ひとつ持っていなかった。佛龕の香も焚かれているかいないかといった様子で