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勘でロモ・アル・トラボを作る

「鍋に弾丸を受けながら」という漫画がある。
治安の悪さとご飯の美味さは比例する、というコンセプトで治安が悪い地域の料理を食べ歩くグルメ漫画で、出てくる料理がそれはそれはとても美味しそうなんだが、いかんせん普通に食べられるものがない。日本は治安がいい。
その中でもギリ1話に出てくるメキシカンマフィアの拷問焼き、ロモアールトラボだけは似たものを作れそうだし、作者もキャンプとかで真似してみては?と言っているので挑戦してきた。
ちょうどキャンプの機会があったのでね。

漫画、おもしろいので興味があったら読んでくれよな。

1話はここから読めるはず

どんな料理か

作中によると、牛肉を塩水に浸したコットンの布でぐるぐる巻きにして焚火に突っ込むというお手軽簡単料理らしい。
見た目が派手で楽しそう。

材料を買う

作中に簡単なレシピは出ているが、本当にざっくりとしているので色々調べながら作っていくことにした。
重要なところでいうと肉の部位がわからない。骨付きがいいよといっているので、リブロースあたりだろうか…?

作者はロモアールトラボをメキシコで食べたという。
メキシコの公用語はスペイン語なので、ロモアールトラボもスペイン語だろうと思って調べてみると、lomo(ロース) al(と) trapo(布)みたいな言葉らしい。

でもまあ好きな肉の部位がいいだろうということでヒレブロックを探していたのだが、通販だといわゆる「いい肉」しか売ってないしスーパーには売ってなかったのでモモ肉にした。

あとはぐるぐる巻きにする布だが、これは作中で必ずオーガニックコットンを使うのだ!と言及があったのでオーガニックコットンのダブルガーゼの生地を用意。
あとはタコ糸。揃うとこんな感じ。

仕込みをする

肉の仕込み

作中で味付けの記載はないが「塩釜焼きのようなもの」らしいので、布を浸す塩水は味付けではなく肉の水分を閉じ込める役割だろうな、と推察される。
なので下味をつけることにした。

用意した(というか家にあった)調味料から以下を適当に選んで揉みこんでおき一晩置く。
・塩
・ナツメグ(肉の臭みをとりたい)
・ホワイトペッパー(一応)
・オールスパイス(好き)
・オレガノ(あったから)
・ローズマリー(肉を焼くときにはこれ!!!!)

塩を仕込みの段階で振るかは結構悩んだんだけど、そんなにいい肉じゃなかったので仕込みで振る。
胡椒は本当は焼いた後にかけるのがいいんだが、キャンプ場に胡椒があるか分からなかったので一応事前にかけておく。
ブラックペッパーは焦げやすくて、焦げると苦味やえぐみが出るため火にかけるのは良くないってどこかで見た記憶があるので、間を取ってホワイトペッパーにしてみた。確か外皮が焦げやすいんじゃなかったか…?
味とかちょっと違うけどまあいいでしょう。

布の仕込み

布を塩水で浸すとのことだが、どんくらいの塩水かが全くわからない。
生理食塩水か飽和溶液かで悩んで、塩釜だしな~~ってことで飽和溶液を作ってみる。

コトバンクによると飽和食塩水は26%の濃度らしいので、500mlの水に大体175gの塩を溶か、そうとしたけど量が多すぎてビビったので70gしか入れられなかった。
本当にこの倍以上の量が水に溶けるのか…??計算が間違っているのか……???え?中学理科…??

とりあえず布を浸して硬く絞る。

これで下ごしらえは終わりなので、あとはキャンプ場に行ってぐるぐる巻きにして火に突っ込むだけだ!

焼く

キャンプ場についた。火も起こした。

肉と布を取り出し、ぐるぐる巻きにしてタコ糸で4か所縛って準備万端である。

そして焚火にどーーーーーん!!!!!!!

なんともいい絵面である。これこれ!これがやりたかったんですよ。
布は意外と焦げるだけで燃えないというのは知識としては知っているけど、一気に火の手が上がったのでめちゃくちゃビビった…。

作中では30分放置していたが、火の上に置いているだけなので折を見てくるくる回しながら焼いていく。
ちなみに同行人は布が燃え尽きて肉だけが焚火の上に残るんじゃないかってハラハラしてた。気持ちはわからんでもない、そんくらい最初燃えた。

30分くらい経って、大体真っ黒こげになったので食べるぞ。

食べる

調べている最中にロモアールトラボは最後に焦げた布を割って中の肉を取り出す(本当に塩釜焼じゃん)とかいてあったのだが割ることができなかった。
一部焦がしすぎて布が肉に張り付いてしまっていたり、風呂敷で包むみたいな包み方をしてしまって布が重なっている部分と薄い部分があったりして、重なってる部分が内側まで焦げ切らなかったことが原因っぽい。
次があれば包み方の研究をしたいな。

仕方ないのでぺりぺりと剥がして、張り付いてしまったところはそぎ落としておく。
テンションが上がってしまったので剥がした後の写真を撮るのを忘れてしまった…無念。

とりあえず中を見るために切ってみる。

えっちな肉が誕生してしまった…。
火に入れる時間が少し長かったのか周りは大分火が入ってしまったが、血合いもなく綺麗なピンク色でいい火加減。ごうごうと燃える焚火に突っ込んだだけなのに。

1.5~2cmくらいの厚切りにしたものを手にもってかぶりつく。
こんなん美味しくないはずがない!うまい!!

近い料理としてはローストビーフだけど、あっちは肉汁閉じ込めるために一回表面焼くからどうしても少しだけ周りが硬くなってしまう。でもロモアルトラボはそれの役割を布が果たしてくれてるのか隅々までやわらかくジューシー。下味はつけて正解。

本当は翌朝のホットサンド用に少し取っておこうとしてたんだけど美味しすぎて全部食べてしまった。

調理法としては面白く派手で楽しかったのでまたやりたいな。
基本放置しておくだけでいいってのもキャンプ飯としては楽だしね。

興味あればぜひ挑戦してみてくれ。

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