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いよいよ「はやぶさ2」が地球に帰還

12月6日に、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に帰ってきます。
2014年12月3日に、H-IIAロケット26号機によって打ち上げられた「はやぶさ2」
小惑星リュウグウから採取した砂などの試料をお土産に、オーストラリア南部のウーメラに着地する予定です。

地下物質を採取

当初、小惑星リュウグウの平坦な場所に着陸する予定でしたが、リュウグウ上空にたどり着くと、凸凹した場所ばかりで、予想に反して平坦な場所はほぼありませんでした。
しかし、はやぶさ2は2回のタッチダウンを行い、見事に試料採取に成功しました。
さらに、人工クレーターの作製や地球圏外の天体の地下物質採取など、様々な偉業を成し遂げます。

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はやぶさ2の作った人工クレーター(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63156)

タッチダウンを2回行ったのは、リュウグウの地下物質を採取するためです。
1回目のタッチダウンで飛散した地下物質が落ちていると推測される地点の試料を採取しています(1回目のタッチダウン箇所から20m離れた地点の試料を採取)。

試料を分析して分かる事

リュウグウは炭素系の物質を主成分とするC型の小惑星です。
「はやぶさ」が試料を採取した小惑星のイトカワと違い、太陽系ができた初期の有機物や、水を含んだ鉱物を多く含んでいると考えられています。
そして、地下の物質は表面を覆う物質よりも保存状態が良いと考えられます。
地下物質を分析することで、太陽系ができた当初の星間物質の元素組成などが分かるんです。
さらに、採取物質に有機物が含まれていれば、揮発した有機物由来のガスが発生する可能性があります
「はやぶさ2」に搭載されたカプセルは、ガス(気体)を逃がさないように金属のシールで密閉しています。
オーストラリアでカプセルを回収し、ガスの分析を行う予定になっています。日本に輸送中に万一、ガスが漏れることを防ぐため、分析はオーストラリアで行われます。
もし、カプセルの中に試料由来のガスが発生していれば、ガス(気体)を分析することで分子量が分かり、分子量からリュウグウのものかどうかが分かります。

オーストラリアで簡易分析を行った後、8日にカプセルが日本に輸送される予定です。

リュウグウの表面と地下の試料を分析して比較することで、宇宙における分子の変化を知ることも出来ます。
元素組成などを分析することで、小惑星リュウグウが出来て何年経過しているかを知ることも出来るんです。
どんな分析結果が出て、そこからどんなことが分かるのか、楽しみですね。

NASAとも提携

実は、10月にNASA(米航空宇宙局)の小惑星探査機「オシリス・レックス」が小惑星「ベンヌ」へタッチダウンを行い、試料を採取しました。
ベンヌは地球近傍小惑星で、地球に接近する軌道を持つ小惑星です。
リュウグウの試料と比較することで、惑星の成り立ちなどをより詳細に知る事が出来ると期待されています。
詳細な分析は来年の6月から行うそうです。

カプセルの再突入と着陸はYoutubeで生中継されます。
6日の2:00~3:00という深夜ですが、こんなイベントを見られる機会はそうそうないので、差し支えなければぜひ見て欲しいです。

まずは無事着陸して、カプセルを回収するところですね。
本当に楽しみです。

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