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花火の仕組みは?

花火は夏の風物詩ですよね。
今回は、花火の原理を簡単に説明します。

誰もが思いつくのは火薬です。
加えて、金属の粉末が入っています。
細かい金属の粉末が燃えると火花が散ります。
鉄粉を混ぜるだけで、細かい火花を作ることができます。
線香花火が分かり易いですね。
通常、鉄の塊は燃えません。
しかし、細かい粒になると表面積が増えるため、燃えやすくなります。
そのため、細かい鉄粉は消防法上の危険物に指定されています(目開き53マイクロメートルのふるいを50%以上の鉄粉が通過する場合)。

また、金属の種類によって、火花の色が変わります。
炎色反応ですね。
例えば、銅は青緑、ナトリウムは黄色、ストロンチウムは赤色です。
もちろん、金属の粉だけではありません。
ナトリウム塩やストロンチウム塩などの塩も入っています。
花火の色を出すための物質は色火剤(いろびざい)と呼ばれます。

最初に火薬と言いましたが、火薬には酸化剤可燃剤が入っています。
酸化剤は、燃焼することで酸素を発生します
つまり、酸素がなくても花火は一定時間燃え続けるんです。
したがって、水の中に入れても直ぐに火は消えません。
終わった花火はそのまま捨てず、しばらくバケツの水の中に入れておいてください(1日以上つけてください)

かつて、酸化剤には硝酸カリウムが使われていました。
しかし、硝酸カリウムは燃焼温度が低く、炎色が暗いという欠点がありました。
その後使われるようになったのは塩素酸カリウムでした。
燃焼温度が高く、明るい炎色を実現できたのですが、爆発し易く、多くの爆発事故を起こしました。
そのため、現在では使われていません。
現在、酸化剤としてよく使われているのは過塩素酸カリウムです。
名前は似ていますが、過塩素酸カリウムの方が融点が高いため、遥かに安全です(塩素酸カリウムの融点は356℃、過塩素酸カリウムは610℃)。

可燃剤は酸化剤と一緒に燃えるものですね。
古くから使われているのは木炭と硫黄です。
木炭は木の種類によって燃え方が異なります
これは金属粉末も同じで、アルミニウム、マグネシウム、チタンなど、種類によって燃え方が異なります。
ちなみに、古くから使われてきた黒色火薬は、硝酸カリウム+硫黄+木炭の組み合わせで出来ています。
日本には種子島に鉄砲と共に伝来したと言われています。

こんなことを考えながら花火をやると、違った視点で楽しめると思います。


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