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どろだんごの化学

子供の頃、夢中でどろだんごを作った事はありませんか?
たまに綺麗でしっかりした団子が出来ると嬉しくなるんですよね。
今はどろだんご作りのキットが販売されているので、自宅で作ることが出来ます。

今回は「どろだんごの王様」という商品を使ってみました。

中身はこんな感じです。砂と土が二種類、着色料とトレイ、だんご削り器などが入っています。飾り用の台が付いてる所が良いですね!

まず、芯用の土と砂をかき混ぜ用の袋(チャック付き袋)に入れた後、付属のカップ一杯の水を入れて良く混ぜます(チャックを閉めて袋の上からこねます)。

少し時間がかかりますが、写真のように全体が湿って色が変わるまで混ぜます。
そのあと、袋の中で土を固めます(机に叩きつけて固めると説明書にはあります)。袋の中でやるのは、土を乾燥させないためです。

袋から出したら手で押し固めるようにして、大きなひび割れなどをつぶし、転がして丸くします。
後で気付いたのですが、この時点でもっとしっかり固めておくべきでした。
机にドンドンと叩きつけるのが有効なようです。

削り器(写真の黄色い台)にだんごを載せ、軽く押しながら団子を回転させます。すると表面が削れてだんだん真球に近づいていきます。
削る時に出るザクザクという音と感触が心地良いです。
既にこの時点で結構良い感じですね!

ここで、だんごに「仕上げ用の細かい土」を付けます。

付けてしばらくすると湿ってきます。
湿って色が変わったら削り器で優しく削ります(削るというより、磨く感じです)。

この操作を5,6回繰り返した後、仕上げ用の土を指につけて表面に擦り付けます。
何度も擦り付けて表面をなでて磨くと、光沢が出てきます。

表面が湿らなくなったら完成です!
正直に言って、表面が凸凹していて光沢感をあまり出せませんでしたw
おそらく、以下の2点が出来ていれば綺麗に作ることが出来ていたと思います。
①袋から出した後にしっかり固めておく。
②仕上げ用の土をつけて磨く工程で団子が光らないときは、半日くらい乾かしてから磨く。

次にやるときはもっと上手く作りたいですね。

ちなみに、付属の着色料で青くすることも出来ます。

説明書の写真が光り輝いているのに比べると、凸凹していて光沢感がありません。
で、このまま半日乾燥させて磨くと光沢感が出てきました。
ただ、磨いた影響で色が剥がれてしまい、修復しようにも塗料が少ししか残ってない。仕方なく剥がれた部分に砂をそのまま付けて磨いてみたところ...




おぉ、これは!

どろだんご地球儀(もどき)の完成!
全く想定外のものが出来ましたが、結構気に入りましたw
着色してない時点でも、半日ほど乾燥させればピカピカになっていたかもしれません。

どろだんご作りで最後にやった磨く工程は、だんごの表面の粒を綺麗に揃える作業です。
以下の図のように、小さくて大きさの揃った粒の土で表面を覆い、光を同じ方向に反射させることで光らせます。
凸凹していると光が色んな方向に反射し、綺麗に光りません。

また、水を含んだ土は乾くと凝集し、固くなります。
作った泥団子が少し脆くても、乾燥させれば大丈夫です。

土には色んな種類があります。
水と土が混ざった液状のものが泥ですが、細かく見ると以下のように分類されています。

礫は一粒一粒が肉眼でもはっきりと分かる大きさです(河原の小石など)。
土は植物や生物の死骸などの有機物と、砂もしくは砂より細かい石の粒(無機物)が混ざったものです。
泥の粘性は、主に水と有機物によるものなんです。
特に干潟の泥は川から運ばれてきた栄養塩と有機物、海のプラクトンが混ざることで豊富な栄養を持ち、多様な生物が生息しています。水質浄化作用もあるため、近年では減少した干潟を再生する試みが行われています。とても細かい粒で出来ているのも、干潟の泥の特徴です。

干潟とトビハゼ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%93%E3%83%8F%E3%82%BC)

また、泥は小さな粒子が水に分散したコロイドの一種です。
そして、流動性のあるゾルです。
液体中に分散した粒子が液体の場合、エマルションと呼ばれます(例:牛乳、マヨネーズ)。
泥のように分散した粒子が固体の場合、サスペンション(スラリーもしくは懸濁液)と呼びます。塗料にもサスペンションになっているものがありますね。

片栗粉や小麦粉を水と混ぜたものも、サスペンション(スラリー)です。
*写真は片栗粉の懸濁液。

どろだんごを作る時は、適度に粒の大きさがバラついている泥が良いようです。
大きな粒子の間に出来た隙間を、小さな粒子が埋めることで固くしっかりした団子になります。
理想を言えば、大きさの完全に揃った小さな粒子が、隙間なく密集しているのが良いんでしょうね。

そして、どろだんごキットに入っていた仕上げの土。
おそらく、ふるいにかけて粒の大きさを揃えたものだと思います。
大きさの揃った細かい粒で表面を覆って凸凹を無くし、キレイに仕上げるわけです。
僕は失敗したので全体が光るものにはなりませんでしたw
どろだんごキットは今回紹介した物以外にも沢山あり、100均でも売っていることがあるようです。
作った泥団子には独特の模様が出来るので、
興味があれば、ぜひ自分だけの泥団子づくりに挑戦してみて下さい。


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