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今見ている数値とデータの意味は?

科学研究において、得た数値やデータが何を意味するのか、しっかりと考え、分析することが重要になります。
数値だけ見て一喜一憂していると、状況を見誤ってしまいます。

その好例が、昨今の新型コロナウイルス感染者数です。
最近は感染者数が過去最多だと連日のように大きく報道されています。
しかし、一連の報道は一部を切り取ったもので、不正確です。
以下のグラフを見て下さい。

新規陽性者数(厚労省HP)
PCR検査実施人数(厚労省HP)

以前も指摘したことですが、検査人数と感染者数は相関しています。
グラフを見れば、これまでにないくらい多くの人が検査を受けたことが分かります。
そして、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査というのは、ウイルスの断片や、ほんのわずかなウイルスも増幅するものです。
この特徴を知った上でデータを見る必要があります。
症状を抑えこんでいる人や、ウイルスを持たない人でも陽性になります
検査人数が増えれば、発覚する感染者数が増えるのは当然のことです。

死亡者数と重症者数の推移(厚労省HP)

最も見なければいけないのは、重症者数と死亡者数ですが、こちらは少なく抑えられています。死亡者数は通算表記なので分かり難いですが、昨年夏以降はなだらかになっていますよね。
直近の死者数も少ないです。
*この死者数も、関連死も含まれている可能性を考慮する必要があります。

そして、この感染者数のデータ、公表した日や前日の状況ではありません。
というのも、検査を受けて結果が出るのは翌日以降、そのデータが国などに上がるのはさらに後です。
そして、発症した人が感染したのは検査を受けるより前のことです。
大体、公表される感染者数は二週間ほど前の状況だということを頭に入れて置いた方が良いです。
また、発表される感染者数が多いのは週末です。
月曜に検査を受ける人が多く、そのデータがあがってくるのが木曜や金曜だからだと考えられます。

ちなみに、医師や企業が検査を促したり、報道などで不安が広がると検査者数が増えます。
長期休暇や休暇明けに受けるというパターンもあるようで、こういったことが重なると検査人数が増え、感染者数も増えます

こういうことは誰もが注意しているわけではないので、やはり情報を出す方がよく調べて考え、極端に不安や恐怖を煽らないように注意すべきですね。

昨今のウイルスに関する報道や情報は、ある意味、格好の教材だと思います。


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