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飛び立つ野鳥たちと目覚めた種子たち①〜五百淵と野鳥の森「小さな自然散歩」(福島県郡山市)

まずは言い訳から

10月15日(日)郡山市の五百淵と野鳥の森でおこなわれた「小さな自然散歩」レポートに続いてアップするのは、1ヵ月前の9月17日(日)、同じく五百淵と野鳥の森でおこなわれた「小さな自然散歩」のレポートです。

言い訳になってしまいますが、このレポート、途中までは書いておりました。しかし、その後三春に引っ越したり、新生活をはじめたりと、にわかに身辺が慌ただしくなり、完成にいたらないまま放置してしまったのです。実は7月にも個人的に取材させていただいたのですが、その記事もまだまとまらず。

完全に記憶と季節を遡ることになる上、個人のメモのような内容ではありますが、順次アップしていきたいと考えております。

〜〜言い訳終了〜〜

9月17日、郡山市学び振興公社が主催する五百淵と野鳥の森での「ちいさな自然散歩」に参加しました。今回も案内人は日本野鳥の会郡山支部の皆さんです。以下、案内人さんとお呼びします。

6月の「ちいさな自然散歩」の記事はコチラ↓

今、五百淵と野鳥の森で、起きていること

実は6月の探鳥会で、自然の不思議や生態系のしくみ、そして、日本野鳥の会の皆さんの里山保全活動に感銘を受け、個人的に取材させていただいたのですが、そちらの記事はまだまとまらず。ちょっと難しく考え過ぎてしまったようです。
もっとシンプルにまとめて、近いうちにアップしたいと思います。→近いうちにまとまりませんでしたm(_ _)m

朝8時、五百淵の遊歩道に集合しました

令和5年度、4回目の野鳥観察会「ちいさな自然散歩」。案内人は日本野鳥の会郡山支部の熊谷さん、佐藤さんです。

前回の「ちいさな自然散歩」では、ニセアカシア(ハリエンジュ)が成長し過ぎて、下の植物に日差しが届かないため、6月にボランティアで駆除(伐採)したというお話をうかがいました。
ところがその1ヶ月後、野鳥の森を訪れると、ニセアカシアはスクスクと膝丈ほどにも成長し、切り株からも新芽が顔を出しているではありませんか! さらにヨウシュヤマゴボウやアレチウリといった外来植物がニセアカシアとともに野鳥の森にはびこり、郡山市が植林したヤマザクラやコナラなどの苗木が完全に駆逐されていました。

しかし、その後の野鳥の森では、さらに興味深いことが起こっていたようです。

熊谷さんも佐藤さんも「今の野鳥の森は、ニセアカシアどころじゃない、他の植物がおもしろい状態になっていますよ」と楽しそう。ベテランの案内人さんがそうおっしゃるのですから、相当興味深いことが起こっているのでしょう。一体野鳥の森はどうなっているのか? 好奇心でワクワクしてきます。

そして、2人がおっしゃっていたように、ニセアカシアの伐採によって日照を取り戻した野鳥の森には、6月とは全く違う光景が広がっていました。改めて命を育む太陽の力、種を残そうという植物の思い(というか、種子に組み込まれたしくみ)のすごさを感じさせられました。

夏から秋にかけての野鳥たち

①夏鳥と冬鳥が入れ替わる時期

まずは野鳥の話題から。案内人さんによると、この時期(9月中旬)は、夏鳥と冬鳥が入れ替わる時期なのだそう。

南から飛来し、一夏を過ごした夏鳥たちは飛び立ち、「今は栃木や茨城あたりではないでしょうか」と案内人さん。すでにバンは南へ戻っていき、まだ気配を感じるヨシゴイもそろそろ旅立つ時期だそう。

そして、森の中は、6月、7月に比べるととても静かでした。あれほどさえずっていたウグイスも大人しくなり、聴こえるのはコマドリの声ぐらいでしょうか。

「この時期の野鳥はほとんど鳴きません」と案内人さん。野鳥たちは、春からの繁殖シーズンが終わるとペアを解消。ヒナも成長して「亜成鳥」となり、成鳥に近づいていきます。そのため、さえずったり、餌をねだったりする必要がなくなり、それほど鳴かなくなるのだそうです。

なかには子どもを五百淵に残し、8月下旬には南へ旅立った親鳥もいるとか。子どもたちは自分で餌を取り、体力がつくまで日本に残り、9月、10月には飛び立っていくといいます。

※亜成鳥=ヒナが成長し、見た目がほとんど成鳥と変わらなくなること。

野鳥のペアって、繁殖が終わると解消しちゃうんですね。鳥たちにとって、繁殖は完全に「種を残すための共同作業」ってことなのでしょうか。また、ドライな親子関係にも驚きました。野鳥たちはちゃんと親離れ・子離れするってことなのかも。人間も見習うべきかもしれません(超余談)。

②カルガモの亜成鳥に見られる翼鏡

まずは五百淵を見渡し、望遠鏡をのぞきながら、野鳥たちの様子を観察。
今の五百淵で見られるのは、水面をゆうゆうと泳ぐカルガモ親子。ヒナたちも亜成鳥となり、見た目はほとんど親鳥と変わらなくなりました。

下は8月に撮影したカモの写真です。成鳥なのか、亜成鳥なのか、わたしには見分けられず…。

案内人さんによると、親鳥か亜成鳥かの見分け方は、羽を広げたときに見える「翼鏡(よくきょう)」という部分にあるそう。翼鏡の白い部分がハッキリ見えるのが、成鳥なのだとか。
今回望遠鏡で観察したカルガモの亜成鳥は、まだ完全に成鳥していなかったようで、案内人さんは「来年はまだ繁殖しないだろう」とおっしゃっていました。

翼をたたんでいるとき見えず、翼を開くとあらわれる「翼鏡」。文章ではなかなか伝わりにくいとかと思いますので、わかりやすい画像を探してみました。

↓こちらのサイト様の写真がわかりやすかったです。

③ヨシの群生地に棲むカイツブリ

カルガモのほか、五百淵でよく見られるのが、ヨシの復活で増えてきたカイツブリ。
「郡山では『むぐっちゃ』と呼ぶ人もいます」と案内人さん。「むぐっちゃ」とは、「もぐった」という意味の方言です。ヨシの群生地に潜る習性から、そう呼ばれるようになったのでしょう。

下の写真は8月に撮影したヨシの群生地。暑さのためか、すでに枯れかけています。

少し前の話になりますが、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、五百淵でも池の底の泥をさらう除染作業がおこなわれ、カイツブリの棲み家となっていたヨシの群生地も伐採されてしまいました。

それにより、カイツブリが「むぐる」場所が減少。頭数が減ってしまった時期もあり、案内人を務める日本野鳥の会郡山支部の皆さんも、心配されていたそう。しかし、その数年後、ヨシの群生地は無事に復活し、カイツブリも順調に繁殖。胸を撫で下ろしたとお話されていました。

④ケンカを避けてか? 棲み分けるカラスたち

次はハシボソガラスと、ハシブトガラス。
この2種の違いは…

ハシボソカラス→「カァーカァー」と澄んだ鳴き声。平原や畑など見渡しのよいところに生息
ハシブトガラス→「ガァーガァー」と野太い鳴き声。木のてっぺんに止まり、餌を探す習性がある

市街地に住み、飲食店や住宅の生ゴミをあさり、迷惑がられているのは、どうやらハシブトガラスのよう。確かに鳴き声も図太いような(;^_^
「カラスもケンカにならないよう、種によって微妙に棲み分けているのでは?」と案内人さんがおっしゃっていました。

下の写真は6月に撮影したハシブトガラスのヒナです。カラスのヒナは「近づくな危険!」らしい。親鳥が攻撃してくる可能性があるそう。

⑤賃貸住宅好き?シジュウカラ

そして、「ツーピーツーピー」とどの季節も元気なシジュウカラ。
「私たちがかけた巣箱を一番利用してくれるのは、シジュウカラなんですよ」と案内人さん。なぜなら、シジュウカラは自分たちで巣をつくらないから。人間でいえば、自宅を建てたり、購入したりせず、ずっと賃貸住宅に住み続けるタイプなのかも?

案内人を務める日本野鳥の会郡山支部では、毎年11月、巣箱づくりの講習会を開催。今年も参加者を募集だそう。
「自宅の庭の木に巣箱をかけると、シジュウカラが来るかもしれませんよ」と案内人さん。興味のある方は参加されてはいかがでしょう(わたしも参加したい!)。

シジュウカラのオスは、11月になると繁殖のために美しい色合いとなり、冬の間に集団でお見合いをして、3月頃メスとペアを組み、群れから離れます
案内人さんによると「シジュウカラのオスは黒のネクタイが大きいほどモテるらしい」とのこと。

⑥アオサギとシロサギあらわる

そのほか、アオサギとシロサギの姿も見られました。
アオサギは姿は優美ですが、想像以上に声が太くて驚きました。県内では南会津のほか、郡山市と猪苗代湖を結ぶ三森峠にも繁殖地があるそう。

下記サイトで詳細を検索。アオサギって、体長90センチ以上もあるんだ。結構大きいんですね。近くで見たら怖いかも(;^_^

あきた森づくり活動サポートセンター様のサイト↓わかりやすく写真がきれい。

そんなお話をうかがっていたら、今度は対岸に餌をついばむシロサギの姿が!

今回はじめて知ったのですが、シロサギにはダイサギ、チュウサギ、コサギがあり、今回見たのはチュウサギだとか。ダイサギよりも首が太く短く、クチバシも短いのが特徴だそう。

田んぼや川辺で虫などをついばんでいる姿をよく見かけるのがダイサギ。1年中、いるように思われていますが、「実は入れ替わっているんですよ」と案内人さん。ダイサギには北から渡ってくるものと、南から渡ってくるものがあり、秋になると2つが日本で混じり合うのだそう。

というか、ダイサギも渡鳥なんですね。ずっと日本で暮らしているのかと思っていました。探鳥会に参加するようになってから、「わたしって、ホントに野鳥のこと、なんにも知らないなあ」と思うこと多し。その分、知る楽しみ、学ぶ楽しみを味わっているところです。←超ポジティブ(;^_^

⑦鳴き声が特徴的なガビチョウ

案内人さんから「今年はドングリが不作なので、クマが民家まで降りてくるかもしれません」という怖いお話があったところで、野鳥の森の奥深くから「グルリグルリグルリ…」という特徴的な声が…! 

聴き続けていると、段々耳障りになってくるこの鳴き声は…

「ガビチョウ(画眉鳥)です」と案内人さん。
「この鳥は、中国原産の特定外来種なんです。ペットとして飼ったものの飼いきれなくなり、飼い主が手放したかかご抜けした鳥が、全国に広まったのではないでしょうか」

日本の野鳥はおもに繁殖の時期に鳴きますが、ガビチョウは四季に関係なく、1年を通して鳴続けるそう。「おそらく原産地は四季の変化がそれほどない場所なのでしょう」と案内人さん。他の鳥の声を真似するのが上手という特徴もあるとか。

確かにとてもきれいな声なのですが、あの声を1年中近くで聞くのはしんどいかも…。飼い主が手放したのか、かご抜けしたのかは不明ですが、すっかり日本に定着し、現在は九州から南東北まで広く分布しているようです。

ガビチョウのさえずり声が気になる方はコチラ↓
(撮影・録音は別な方です)

案内人さんによると、大陸に棲む鳥はもともと声が大きいんだとか。写真も見せていただきましたが、「画眉鳥」と呼ばれるだけあって、目の下に眉毛のような特徴的な模様があります。野鳥の森には2ペア程度が生息していると考えられているそうです。

その②に続きます


いただいたサポートの半額は、跋扈するニセアカシアの伐採をはじめ里山保全に取り組む日本野鳥の会郡山支部に寄付いたします。残りの半額は、生態系に関する活動をされている方の取材費(おもに交通費)に使わせていただきますので、サポートよろしくお願いいたしますm(_ _)m