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知っておきたい書籍の仕様

●本の仕様についてお話します

 みなさん、こんにちは。現代書林企画部のAです。
 今回は本の「仕様」について話していきたいと思います。
 
 世の中に多く出版されている本ですが、一冊一冊、「仕様」が異なります。サイズ、総ページ数、印刷の加工など、仕様にはいくつかの種類があります。
 普段、本を読む時に仕様を意識することはあまりないと思います。
 しかし、出版社は一つひとつ、仕様を検討して決めているのです。
 
 これから出版を考えている方は「こんな本の仕様にできればいい」というイメージ作りの参考にしていただきたいと思います。
 
 仕様について今回は大まかに「サイズ」と「それ以外」についてまとめていきます。

 ●代表的な本のサイズ

 本のサイズ(判型)にはどんなものがあるかご存じでしょうか?
 ちなみに、Amazonのサイトでは「寸法●×●×●cm」という記載があります。縦・横・背の寸法です。
 
 本のサイズは印刷する用紙の都合上、「A判」と「B判」のサイズが中心となります。実用書、ビジネス書の出版が多い弊社ではA5、B6、四六サイズを多く採用しています。
 
 なお、「四六」は日本独自のサイズです。寸法はB6サイズとほぼ同じですが、縦に6ミリだけ高いのが特徴です。
 
 上記の他にも、コンパクトな新書サイズやA5より大きいB5サイズの本も弊社では出版しています。
 
 文字中心の本は小さめの新書サイズ、イラストや写真などのビジュアルを重視する本は大きめのA5サイズが適しています。本のテーマや内容によってサイズを検討し、決めていきます。 

●サイズ以外の様々な仕様

 サイズ以外にも仕様には種類があります。
 主な種類である①~③について概略をまとめていきます。
 ①  印刷する色数
 ②  製本
 ③  加工

 
 まず、印刷する色の数について、大きく3種類あります。
 ・1色刷
 ・2色刷
 ・4色刷

 
 紙の印刷はCMYKという4原色のインクを使用します。
 印刷の際に使用する色は基本的には1色か2色、そして4色カラー(4つの色をかけ合わせて様々な色を作るカラー印刷)です。
 
 次に、製本の違いについて「ソフトカバー」と「ハードカバー」があります。
 ソフトカバーは一般的な製本です。ハードカバーより重くなく、かさばらないので持ち運びもしやすい形です。
 対してハードカバーは段ボール紙を表紙に使用するものです。これにより重厚で上質な雰囲気を出すことができます。総ページ数が多い小説や専門書などで主に使われています。
 
 次に「加工」について。主なものは下記の通りです。
 ・PP加工
 ・ニス加工

 
 PP加工の「PP」はポリプロピレンのことです。ポリプロピレンのフィルムを用紙の表面にコーティングして加工します。これによりカバーを摩擦や傷から保護することができます。また光沢感や高級感が増し、見栄えも良くなるのが特徴です。
 
 ニス加工はニス(樹脂製の液体)を印刷物の表面に塗り透明の膜を作ります。これによって傷や汚れから印刷物を保護する加工法です。上質な雰囲気を出すことができます。
 
 大まかに表現しますと「PP加工はツルツル、ツヤツヤ」。「ニス加工はザラザラ」といった感じです。……伝わっていますでしょうか?
 お手元にある本を何冊か触ってみてください。

●仕様を考えながら本を作る

  本の主な仕様についてまとめてきました。
 
 今回紹介してきたもの以外にも様々な仕様があります。これらの仕様を意識して私たちは一冊の書籍を作っていきます。
 
 多くある組み合わせの中で、よく採用する基本的な型のようなものもあります。
 一方で、違いや特徴を出していくことで読者の方に選ばれる一冊とできるよう、本づくりを行っています。
 
 本はタイトルや内容で買われることが多いと思います。それとは別に、仕様の美しさ、カッコよさで思わず「ジャケ買い」されることもあります。
本の仕様に注目して書店を眺めてみるのも新たな発見があるかもしれません。

現代書林企画部 A