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5角形の角の大きさの和を求める

 合同な図形の授業を参観した。5年生算数の授業づくりである。多角形についての簡単な性質を考えるところである。三角形や四角形の性質を用いて、5角形の角の大きさの和の求め方を考える授業だった。

 子どもたちからは、対角線を2本引いて、3つの三角形に分けて求める方法と、対角線を1本引いて、三角形と四角形に分けて求める方法以外に、交わる対角線を2本引いて、3つの三角形と1つの四角形を足して、交わったところを引いて求める方法の3種類の求め方が出された。(図1) 

図1

 事後検討会では、対角線を1本引いて、「2つの四角形に分ける方法」と「線を5本引いて5つの三角形に分ける方法」もあるのではないかと指摘された。(図2)子どもたちから多様な方法は出されていないというのである。

図2

 では、なぜ多様な方法が出る授業にはならなかったのか。事後検討会で出された指導助言等から読み取ると、子どもたちが考えた方法を名付けていなかった点とどういう順番で子どもたちの考えを並べるのかという授業展開に工夫がなかった点が挙げられる。三角形だけで求める方法と、三角形と四角形で求める方法を並べたとき、「だったら、四角形だけの方法はないか」という問いが子どもたちに生まれるかどうか。(図3-1)三角形だけで求める方法と、交わったところを引く方法を並べたとき、「だったら、三角形だけで交わる方法はないか」と問いが子どもたちに生まれるかどうか(図3-2)子どもたちから出された考え方をどのようにさらに操作したり比較させたりすると、新たな問いが生まれるのかを検討してはどうかということなのだろう。

図3-1
図3-2

 授業は、子どもたちの答えから始まる。授業展開のタクトをどのように工夫するかを検討する前に、教材解釈をどれだけ豊かにできるかが問われた授業研究だった。教師の教材解釈の深さと豊かさが、子どもの可能性を引き出すのである。

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