インドネシア産コーヒーとスマトラ式
インドネシアはコーヒーで有名な国の1つです。
深煎りで苦いコーヒーというイメージで苦手な人もいるでしょう。
しかし一方でその個性的な味わいの虜になっている人もたくさんいると思います。
インドネシア産コーヒーの特徴的な味わいは実は精製方法から生まれるものなんです。
インドネシアはコーヒーの名産地
インドネシアはブラジル、ベトナムに次ぐ世界第3位のコーヒー豆生産量を誇るコーヒー大国です。
インドネシア産コーヒーの歴史
インドネシアにコーヒーが持ち込まれたのは1690年代だと言われています。
インドネシアがオランダの植民地だった頃です。
ジャワ島にアラビカ種が持ち込まれ、各地に広がりました。
その後コーヒーの木の病気が流行った影響で、病気に強いロブスタ種が増えていきました。
現在はアラビカ種1割・ロブスタ種9割の割合で生産されています。
独特な精製方法!スマトラ式とは
スマトラ式とはインドネシアのスマトラ島で生まれた精製方法です。
コーヒーショップで見かけるインドネシア産のコーヒー豆はこのスマトラ式で作られたものが多い気がします。
簡単にいうと、乾燥が終わってないうちに脱穀までしてしまって、その後生豆の状態で乾燥させる精製方法です。
ちなみに脱穀を英語で「hull」と言います。
そのためスマトラ式は「Wet Hulled」と呼ばれることもあります。
スマトラ式が生まれた過程
まず初めにナチュラル精製が生まれて、広く普及していきました。
ナチュラル精製は広大な土地を持った乾燥地域に適した精製方法で、主にエチオピアやブラジルで広がりました。
しかし土地が狭く、雨の多い地域ではこの精製方法は適さず、そこでウォッシュト精製が生まれました。
つまり早く乾燥させるために、チェリーの皮をむいたのです。
このおかげで中南米地域でもコーヒーを精製することができるようになりました。
ところがアジアの熱帯雨林気候の地域ではもっと雨が降り、湿度も高いため、もっと乾燥の時間を短くする必要があったのです。
そこで考案された精製方法がスマトラ式というわけです。
スマトラ式コーヒーの特徴
ハーブのような香りが印象的です。
また、スパイシーでコクの深いどっしりとした味わいがあります。
特徴的な味わいがゆえに、アーシー感があると表現されることもあります。
これはポジティブに捉えるとワイルドで力強い、ネガティブに捉えると草っぽいって感じでしょうか。
この特徴を活かすために深煎りにされることが多いです。
みなさんに馴染み深い「マンデリン」と呼ばれるものがそれに当たると思います。
僕自身、浅めに焙煎されたスマトラ式のコーヒーを飲んだことがないのですが、浅めに焙煎されたものをいくつか見かけたのでまた飲んでみたいと思います。
スマトラ式の手順
コーヒーチェリーを収穫してから水洗まではウォッシュト精製と同じです。
違うところはどこまで乾燥させるかです。
スマトラ式では水分値が30%程度になるともう脱穀を行います。
他の精製方法では水分値11%くらいまで乾燥させるので、それと比べると、かなり水分値が高い状態で脱穀を行うことが分かると思います。
脱穀後、再度乾燥させて、最終的には他の精製方法と同様、水分値11%ほどになります。
濡れた状態で取引される?!
なんとスマトラ式で精製された豆は、濡れた状態で取引され、それを買った仲買人によって乾燥されます。
また、豆の水分値によって名前がつけられており、どの状態の豆を買うのかで価格も変わってくるのです。
詳しく知りたい方は是非こちらの動画を見てみてください!
すごく分かりやすく説明されています。
メリット
やはり雨が非常に多く、湿度の高い熱帯雨林気候の地域でコーヒー精製ができるようになったことが大きなメリットでしょう。
またこれによって生み出される独特なフレーバーも魅力の1つと言えると思います。
デメリット
欠点豆が多くなることがデメリットとして挙げられます。
欠点豆はコーヒーの味に悪影響を与えてしまうため、品質に大きく作用します。
まず、水分値が高い=柔らかい状態で脱穀するため、その際に豆が傷つきやすいです。
さらに脱穀後、生豆の状態で乾燥させるため、雑にするとすぐに割れたり欠けたりしてしまいます。
乾燥の工程ではより丁寧な作業が必要となります。
最後に
クリーンで美味しいインドネシアのコーヒーは、そこに至るまでに様々な試練を乗り越えてきたのですね。
精製方法が少しでも分かれば、新しい目線でコーヒーを楽しむことができるのではないでしょうか^^
先日、大阪で開催されていたGOOD COFFEE FESTでは、今日紹介したスマトラ式ではない、他の精製方法で作られたインドネシアもたくさんありましたね。
早速インドネシアのコーヒーを飲みたくなってきました(笑)
では、素敵なコーヒーライフを!
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