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五反田本を、品川区の小中学校・義務教育学校に寄贈しました

こんにちは、ゲンロンスタッフの野口です。わたし、滋賀の大津出身で、大学進学を機に関東に出てきました。
まだ大津に住んでいた頃、それも小学生とかぐらいですかね、近くに美術館や図書館・公園などがある「文化ゾーン」というエリアがあって、近くに祖母が住んでいたり、父や母の職場が近いこともあって、よく行っていました。特に図書館。家族がヘビーユーザーなのもあり、当時はブックポストなんてなかったので、2週間に1回ぐらいは行ってたんじゃないかなぁ……。中学生ぐらいになると自転車でも行っていた覚えがあります。
正直どんな本を借りていたのか、なんてことは思い出すこともできないのですが、石の床っぽいホールの大きな階段や、窓の大きい、でもすこし薄暗い書架の間をいろいろ見て回ったのを覚えています。

さて、なぜいきなり図書館の思い出話をはじめたかといいますと、その理由はこちら!

本日発表のプレスリリースでご案内しましたが、このたびゲンロンでは、品川図書館のご協力により、品川区立の小中学校・義務教育学校全46校に、『世界は五反田から始まった』を寄贈させていただいたのです!

こちらは本ができあがる少し前、星野さんとともに品川図書館にお伺いする機会があり、そこで「ぜひ小中学生の子たちにも読んでみてほしいんですよね~」という話をしたところ、そこからタイミングよく各校の先生方におつなぎいただけるきっかけがあって、実現しました。

これをきっかけに学校の図書館などでふと誰かの目に留まり、タイトルが気になってちょっと読んでみて、借りて家で読んでいたらそれを見た家族と話が生まれて……などと妄想したりしています。

もちろん、何年か経てば中身も忘れてしまうのかもしれないし、何か学校の図書館で借りた、変わったタイトルの本があったなぁなんてぐらいに思い出されることもそうそうないのかもしれない。それでも何か心の片隅に残って、それがその人の見る景色や、家族や友達と話すことなどに、少しでも影響があったらな、そしてそれが何かいいものになればな、などと願って、今日も本や対話の種を撒いています。

最後に、リリースに寄せて、弊社の代表であり本書の編集も担当した上田からのメッセージを掲載しておきます。

【寄贈にあたって】
ノンフィクション作家・星野博美さんのおじいさんは、13歳で千葉県の房総半島から品川区にやってきました。親戚の町工場で働いたのち、独立して戸越銀座に自分の工場をもちます。町工場に生まれた孫の星野さんは、忙しい両親ではなく、おじいさんに遊んでもらっていました。

大好きだったおじいさんは星野さんが7歳のときに亡くなってしまいます。けれども、おじいさんが小さな星野さんによく言っていた「いつかここが焼け野原になったら、何がなんでも戻ってきて、杭をうて」という謎の言葉は、ずっと心に残り続けました。

『世界は五反田から始まった』で星野さんは、そんなおじいさんの言葉と、彼が残した手記を頼りに、五反田周辺地域=「大五反田」の歴史を探っていきます。空襲をかいくぐって工場を守ったおじいさんがユーモアとともに星野さんに伝えたのは、戦争をどう生き抜いたかでした。

土地には、長い時間のなかで、さまざまなできごとが積み重なっています。品川区で代々生き抜いてきた人びとの痕跡は、街のなかに点々と残っています。品川区に住む若い方々や、品川区で教育に関わる方々にこの本が届いたら嬉しく思います。

ゲンロン代表/『世界は五反田から始まった』担当編集 上田洋子

プレスリリースより

『世界は五反田から始まった』は全国発売からもうすぐ1週間ですが、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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