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『星霜輪廻〜ラストモーメント』第一章

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不定期連載『星霜輪廻〜ラストモーメント』第一章をまとめました。本編に加え、設定資料なども上げていきたいと思います。
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記事一覧

第7話「アンビバレント・オートノミー」『星霜輪廻〜ラストモーメント』第二章:月面…

一. 「まつりぃぃ?」  ふかふかのベッドから起き上がり、天井から吊り下がるカーテンの間か…

スキマニウム
1か月前

第6話「猜疑の切先」『星霜輪廻〜ラストモーメント』第二章:月面編

一.  ──事が動いたのは月面のスクリーンシフトが昼から夜へと切り替わった時分の頃だった…

スキマニウム
2か月前
3

第5話「まやかしの月都」『星霜輪廻~ラストモーメント』第2章:月面編

一.  月面中枢都市「コペルニクス」。スクリーンシフトは昼だが地球準拠標準時は真夜中の二…

スキマニウム
6か月前
1

第4話「不可知の少年」『星霜輪廻~ラストモーメント』第2章:月面編

≫一≪  シャドウ――社会道徳保全機構の本庁舎から、徒歩で一〇分ほど歩いた所にある最高検…

スキマニウム
10か月前
4

第3話「衝」『星霜輪廻~ラストモーメント』第二章:月面編

≫一≪  月面で坂入真佐の処罰が決する一方で、在地でも文系派粛清の波が押し寄せていた。 …

スキマニウム
11か月前
20

第2話「由理,She is...」『星霜輪廻~ラストモーメント』第2章:月面編

≫一≪  とある日の昼下がり。昼といっても月面はただいま夜シフトなので、道路を照らすのは…

スキマニウム
11か月前
7

第1話「窪の底から」『星霜輪廻~ラストモーメント』第二章:月面編

≫一≪  延命主義を至上とし、世界平和の願いをも包摂して進行していった世界連合。人の希望は逆説的に澱みを帯び、いつしか絶望へと転じる。世界の数多の社会体制は、同様に人々の喝采を浴びてこの世に生じ、やがて社会の歪みを増大させながら無為に生命を貪りつつ新しい希望へ置換される。その営みは、さながら新陳代謝を繰り返す多細胞生物のようであり、その行きつく先は成長か、退化か。  奇しくも一世紀と半分の時を遡ると、そこには教壇で弁舌を振るうヘルマンの姿があった。彼は水上葉月とアレクサンド

益江1:37「あてどなき宇宙よ」『星霜輪廻』

 月面都市コペルニクスの第二階層から第三階層にかけて、広大な敷地を有するLC社の本社ビル…

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益江1:36「ラストモーメント・益江町」『星霜輪廻』

 月面都市「コペルニクス」。クレーターの窪地内に築かれたこの未来都市は、地上からもその容…

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益江1:35「Humanities Scandal」『星霜輪廻』

 施設を後にして一行が向かった地下施設。旧軍に利用されていた同施設は、旧軍の解体・撤退以…

益江1:34「剥離」『星霜輪廻』

 少し時間を戻して、益江介護施設。食堂で西見由理は検事総長クロエ・ヴァンサンと一対一の面…

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益江1:33「歩みを続けるモイエナージュ」『星霜輪廻』

 時刻は夜の八時前、検察官が事前の打ち合わせ通り益江介護施設に踏み込んでいる頃。特務課を…

益江1:32「延命主義には窓がない」『星霜輪廻』

 既に日も傾き始めた時分。あと五時間で投票受付が終了する頃合いに、座山市庁舎ではアサミを…

益江1:31「反復運命線」『星霜輪廻』

 逋峙湖近傍、火葬場施設跡で無為な時間を過ごしている坂入奈佐。結局小出が帰宅したのは日付が変わった後で、夕食はニューホジタウンの官営スーパーで売られていた半額の弁当だった。 「……はい、はい」  ソファに深く座り込む奈佐の後ろで、小出はタブレット片手に誰かと業務連絡を取り合っていた。その仕事に追われている様が、奈佐からは窓に反射した姿として映っている。 「なんか奇妙だなあ」  ポツリと呟いたその言葉こそ真理だった。つい先日まで命を狙われていた自分が、今では温い毛布にくるまり、