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沈黙を聴く能力

周りがやかましくても沈黙を聴いているな~って思う瞬間が時々あったりする。それは耳の内側に耳を傾けることでできることに気づいた。僕は音の背景を楽しむ術をいつの間にか手に入れていた。

これ最近気づいたことなんだけど、自分の考えは実は音で耳で聴いているんだな。意識の中で飛び交う議論だったり、頼りない自分への野次だったり、あの人綺麗だなとかあいつ肩幅広!みたいなことは全部耳で聴いていた。

そいで、ただ座っているときとか電車で立ってるときとか、ふとすると考えが一切なくなって頭の中の沈黙がよく聴こえるようになる。これが結構落ち着く。夜散歩しているときのような気分になる。

だから結構沈黙聴くのが好き。あいつ何か深く考えているんだろうなとか周りから見られているかもしれないけど実は何も考えていないんだ。


沈黙はやっぱり独特な柔らかい重みがある。僕は気まずい沈黙をにやにやしながら肴にする。優しい沈黙は目をおっとりさせて口角を引き上げてくれる。ピリピリした沈黙は窒息させてくる。

でも僕の中にある沈黙はこれらとは違う。ただただ空間が満たされているかのような沈黙。頭の内側と外側が粘液体で満たされたような感覚になる。そこには何もない深い海がただ広がっている。


何もなさがやっぱり好きなのかもしれない。



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