難病だと発覚した義母の話1

私が義母の介護を開始したのは2016年1月。

しかし、義母の元々の病気は2013年に始まっていた。

2013年、1月。
雪が降った翌日、義母はパート先のスーパーへと行く途中で転倒。右の手首を骨折した。

骨折自体は順調に回復した…と思う。
実はよく覚えていない。覚えていないという事は、順調だったのだと思う。
毎週、週末になると家族で旦那の実家へ行き、一緒にご飯を食べていた。
義母がいれば、義母が夕飯を用意してくれた。
だいたい義妹も娘を連れて来ていて、義母がいないと義妹が夕飯を用意してくれて、私が夕飯の準備をする事はあまり無かった。
それは義母が『自分の持ち場』である台所にあまり立ち入って欲しく無さそうに感じる事が多々あって遠慮していた…というのもあったけれど、その当時の私は嫁だけど『お客さん』という立ち位置だった。

2月、突然義妹から『しばらく実家に来ないで』と言われる。
義母がうつ病になり、ちょっとした物音に敏感になり、ヒステリーを起こすようになった。
当時、私の息子が小5で娘は小2だった。義妹の娘も小4で子供達が集まれば…まぁ、ワイワイと大騒ぎよね。
特に小2の娘の声が甲高くて、義母には堪えるというのが理由だったが、『お客さん』であった私への配慮…あるいは義母が自分のそんな姿を嫁に見てもらいたくない…というのもあったのかもしれない。

そんな訳で、毎週行っていた旦那の実家へはしばらく出入り禁止になった。
毎週末実家に行く事に不満を持っていた私にとっては不謹慎だけど、気がラクだった。

しかし、この時の事を旦那はいつまでも引きずる事になるし、義妹も義父も後悔する事になる。

義母の鬱の原因は骨折の事で思う様に身体が動かない事もあった様だけど、職場の人間関係にあった様だ…と聞いている。
私はこの初期のうつ病の時には何もしなかったから後々、義妹や義父から聞いたのだけど、職場にいじめられているパートさんがいて、その方を助けてあげる事ができないまま、辞めていかれた事に責任を感じていた…と聞いた。

義母のうつ病はあまり良くならず、昼夜逆転やご飯をあまり食べない、『心臓がドキドキする、死んじゃう』と大騒ぎを繰り返し隣県にいる姉に電話で助けを求めるなどして、5つ年上のお姉さんが1時間弱の道のりを会いに来てくれていた。

義父は家で仕事をしている人だったが、全然頼りにならなかったと聞いている。
それはその後も変わらないけど…σ(^_^;)

義母はこの時の苦しかった気持ちを後にケアマネージャーさんに吐き出していた。
『苦しくて苦しくて、娘に電話をしたけれど、やっと来てくれたと思ったら、そんなことで電話してこないで!って怒鳴られてとても苦しかった』
『お姉さんだけが頼りだった』と。
ケアマネさんに話をしていたその時はいろんな事を忘れ始めている時期だったけど、そういった辛かった事とかは感情と共に深く記憶に残るのね。

一年かけて2014年の春に調子を取り戻したものの、夏ごろには耳鳴りがひどい…と訴えがあり、『耳管開放症』と診断される。
良くなったり、悪くなったりを繰り返し、2015年春に再び絶好調。
パートをしていた頃の友達とスポーツジムに通うほどに回復。
その頃には私達家族も週末には実家に行く習慣が戻っていた。

義母は『家で出来る趣味を見つけたい』と手芸が趣味の私に相談をしてくれて、色々と話し合った結果、義母は『レース編み』を始めた。

趣味に運動に…順調に回復しているように見えた義母だったが、何かおかしい…となったのは2015年の秋…寒くなってきて、冬に向かっている時期の事だった。

初めに『何かおかしい』と気がついたのは、義母の姉だった。
『電話で聞いたんだけど、散歩がてらRに買い物に行ったらしいんだけど、道に迷って帰れなくなって焦った…って言うのよ』

Rは近所のディスカウントスーパーで歩いて10分ほどのところ。10年以上通っているのに…

『申し訳ないんだけど、話を聞いてあげてくれないかしら?』
義母の姉のKさんは私にそう相談をしてきた。

Kさんは自分の認知症の母の介護をしていた経験者だったので、おそらくすぐに認知症を疑った。
私が結婚前は介護施設で働いていた事を覚えていたのだろう。『認知症』というワードを出さなかったけれど、それを疑ったからこそ、私に声をかけてきたのだと思う。
あるいは義妹や義父では頼りにならないと判断したのか…。
Kさん自身も70歳を超え、義母の元に通う事が大変だった…というのもあったのだと思う。

今までは『お客さま』として関わっていたが、『嫁』として役割を任された瞬間だった。

そんなKさんのお願いにあからさまな嫌悪感を示したのは旦那だった。

『俺らは一度切り捨てられてるだぞ⁉︎今さらなんだ!(義妹に)やらせればいい』
と言い放った。
義母がうつ病になった時に『出入り禁止』になった事を引きずっていた。

そうは言っても放っておける訳もなく、旦那のいない平日の昼間に義母の様子を見に行く事にしたのだけど、たまたま行ったその日に認知症を疑う出来事に遭遇する事になったのだった。

(2013年1月〜2015年11月)


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