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"最後まで誠意を持って接してあげてね"

それが妻との離婚を打ち明けた時、母から言われた唯一の一言だった。
この一言がずっと頭の中に残っている。

妻と僕の両親は、とても良い関係を築いていた。
両親は揃って彼女の事が大好きだったし、あんなに素敵なお嫁さんは中々いないよとか、いつかお友達としてランチをしたいなと言うくらい好印象しかなかったらしい。

そんな妻に、大事な人を失う経験と、その人がいない生活を乗り切る経験をして欲しいと言われた。

彼女と何度も話す中で、気持ちがフッと軽くなったり、
心の中のモヤモヤが少し晴れた日も実はあった。

とはいえ、自分が思っていたよりも傷は深く、どうしても気持ちが落ちる時間の方が断然に長い。
その度に、彼女から言われた言葉を悶々と考えている。

全ては僕が悪い。それは分かっている。
ただ、彼女の言葉を考えれば考えるほど、ドン底はまだこれから待ち構えているのかなとある種の恐怖を感じる。

大事な人を失う経験というのは、離婚届にサインをする事で嫌でも経験をするだろう。その後に、彼女がどういう距離感を好むのかは分からない。
ただ、僕達が出会う前の状態に近くなる可能性は高いだろうと予測はしている。
何れにせよ、今までよりも距離が開き、彼女がいないのが当たり前な生活が待ち構えている。
それをどう乗り切るか。今は全く想像も出来ない。

横を見ても妻がいない。お喋りしたくとも彼女はいない。
そんな瞬間が、半永久的に続くのかと想像しただけでも憂鬱である。
勿論、自分の不甲斐なさや未熟さが原因で彼女に同じような思いをずっとさせていたのも事実。カルマだと言われれば、返す言葉も無い。

こういった心の中が波ついてる中で、一つ自分に言い聞かせている事がある。
それは、一度離婚届にサインをしたら、そんな彼女にも新しいパートナーが出来るかもしれないということ。
彼女から課された経験の意味を理解し、荒波を乗り越えたとしても、彼女の心はその先で待っていないかもしれない。そんな可能性は、大いにある。

勿論、また彼女と一緒になれたらとは切実に願っている。
しかし、僕はそのチャンスを貰う事が出来たにも関わらず、妻である彼女を幸せにする事が出来なかった。
ここ数週間で、お互い言いたいことを言い合ったこともあって、もしかしたら結婚してから1番の学びがあった数週間だったかもしれない。

それだとしても、だ。
彼女には幸せになる権利があって、僕も彼女が幸せになるのを心の底より願っている。いつかまた彼女とヨリを戻して、次こそは幸せにするなんて思っている自分がいるけれど、それはさすがに現段階では予測不可能。

様々な感情が常に押し寄せてくるせいもあって、気持ちの浮き沈みが非常に激しい。きっと、こんな僕にも、僕達自身にも、きちんと未来は待っている。
頭では分かっていても、この荒波をどう潜り抜けるのか。
その答えを見出すのにはもう少し時間が掛かりそうだ。

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