見出し画像

短編小説を読んでみる③

こんにちは!占い勉強中のあやです。

今回も薄い本(200ページ以内の本をここでは指しています)を読みました。ちなみにうちの本棚から選んでいるので若干古いし薄汚れております。ごめんなさい🙏

*  楢山節考 深沢七郎著 新潮文庫

こちらは194ページです。いい感じの薄さです。表紙は安野光雅なんですね。豪華です。四編の小説が収められています。四つの小説は異なる色合い。コース料理なのに日本料理の次にフランス料理が出てその後トルコ料理が出てくるような感じです。でもちょっと変わった創作料理かもしれません。

物語の舞台は、恒常的に食料が不足している村。老人は70歳になれば楢山まいりに行くことになっている。世間体を重んじ、なにより優しい息子辰平家族の生活を守るためにおりんばあさんが率先して楢山まいりをする日取りを決め、実行するまでの物語です。楢山まいりとは、要するに楢山に捨てられるということです。
こういう話は生まれた年代、環境、家族構成によって大きく感想が違うと思います。
人の生き死にを地域の共同体や家族が決定していた時代の話。おりんが楢山にいき、物語は終わりますがそれは点に過ぎず、これからも辰平家族の生活は長く長く続く終わり方になっています。そこに恐ろしさはありません。静寂と崇高さすら感じてしまいました。

楢山節考は映画化や舞台化もされていますが、作者は舞台を観ておりんの描き方の恐ろしさに驚いたそうです。そんなつもりはなかったのに…と思ったらしい。受けとめ方によっては確かに怖い話です。
四編のうちの一編「白鳥の死」の中で、おりんはキリストと釈迦の両方入っているつもりで書いたと述べています。さらにキリストの愛と釈迦の無常観が同じように好きだとも。
いろいろな事で世間を騒がせていた人ではありますが、天から眺める眼、貧富も何も関係なくただただ、その人間が何を行なっているかを観ている神の眼、冷徹さと慈愛のある眼、そういうものを深沢七郎は持っていたのではないかと思います。

さて、私が恐ろしかったのは「楢山節考」ではなく、「月のアペニン山」という短編でした。不気味でした。この小説を読んだ後、映画 「貞子」の映像のような夢までみてしまいました。滅多に夢をみないのに、その翌日の夜も犬のウンチをひたすら両手で受け止め続けるような気味の悪い夢をみてしまい、変なスイッチ入っちゃったかなあとうんざりしました。

ここまでお読みくださり
ありがとうございました🌻

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?