【短編小説】鉄塔の町:中と外
真っ直ぐ左右に遠く延びているフェンスの終わりは薄暮の中に消えていた。
微かに聞こえ始めた車のエンジンの音がみるみる大きくなるにつれて、地響きも混じり始める。
ヘッドライトが2つ、4つ、6つ、8つ…。馬淵塔矢は、警備に就いている収容施設の第3ゲートに避難民の輸送車の長い車列が向かってきているのを目視すると、上官から直接塔矢だけが受けた命令を独り言のように繰り返した。「58は第6ゲートへ誘導せよ、58は第6ゲートへ誘導せよ、58は第6ゲートへ誘導せよ…」
次々と第3ゲー