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【短編連載】精と血:3

〈7月22日〉
 警察に行った。
 父親は痩せこけていた。記憶の中の父親とは全く違っていた。15年ぶりに対面してどんな感情をもてばいいのか分からなかった。


 父親は自分の部屋で倒れているのを、半開きのドアから隣の人が見つけたそうだ。
 事件や事故ではなく、死因は分からないらしい。持病もなく強いて言えば自然死とのこと。まだ、50歳にもなっていなかったはず。それで自然死?


 葬式には母は出れないだろう。うちには親戚付き合いはないし、父親の知人も僕には分からない。葬式は僕一人か。
 葬式が終わったら、父親の部屋の片付けに行かなければ。
 

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