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食えるだけの仕事から、意味を感じる仕事へ

「ワーク・シフト孤独と貧困から自由になる働き方の未来図」人間的なるものを超えた人類学」は、現代社会において注目される働き方の未来を探求した一冊です。著者は人類学者であり、ワーク・シフトという働き方について独自の視点から解説しています。

本書では、孤独や貧困からの脱却を目指し、自由な働き方を実現するための提言がなされています。また、人間的なるものを超えた視点から、社会の変化や個人の意識的な選択についても考察されています。本書を読むことで、働き方の在り方や自己実現の可能性について新たな視点を得ることができるでしょう。

本書は新型コロナウイルス感染症対策により、政府の「新しい生活様式」の提案から、否応なくリモートワークやさらに広がるグローバル化したビジネス環境において、誰と、どこで、どうやって働きたいかについて書かれています。

体験され方はすでに感じておられることと思いますが、リモートワークにはメリットもデメリットもあります。

メリットとしては、通勤時間や費用の削減、自分の好きな場所や時間で働くことができることなどが挙げられます。一方、デメリットとしては、コミュニケーションやコラボレーションの困難さ、孤独感やストレスの増加、セキュリティや環境の問題などが挙げられます。

現在のオフィスへ戻る流れは、感染症の収束やワクチンの普及に伴って起こっていると思いますが、それだけではなく、リモートワークのデメリットを解消したいというニーズもあると思います。オフィスで働くことで、同僚や上司との対面でのコミュニケーションやフィードバックがしやすくなり、仕事の効率や品質が向上する可能性があります。

また、オフィスで働くことで、仕事とプライベートの区別がつきやすくなり、メンタルヘルスやワークライフバランスが改善する可能性もあります。

しかし、オフィスへ戻る流れには、リモートワークのメリットを失うというデメリットもあります。オフィスで働くことで、通勤時間や費用が増えたり、自分の好きな場所や時間で働くことができなくなったりすることを敬遠する人もいるでしょう。

また、他にも感染症のリスクは色々とあるわけですから、オフィスで働く人は一人ひとりがしっかりとした対策をしていることが求められると思います。これは「マスクをして終わり」ということではなく、例えば菌を巻き散らさないために正しい手洗いの方法を学んで、実践し習慣化するまでが必要でしょう。

他にも災害時の帰宅困難などの問題に直面する可能性もあります。したがって、私はリモートワークからオフィスへ戻る流れに一概に賛成も反対もしません。個人や企業によって最適な働き方は異なると思いますし、柔軟に選択できるようにすることが大切だと思います。

要はリモートワークでもオフィスワークでも、それぞれのメリットを活かし、デメリットを克服するための工夫をすることが必要だと思います。

本書でも、これからは主体的に選ぶことが可能な時代であると著者は主張しています。人口、テクノロジー、エネルギー、都市化など、多岐にわたる観点から未来の働き方が予測され、複数のシナリオが提示されています。これらの要素を考慮すると、地球全体で人々の生活が大きく分かれる未来が描かれています。

この未来予測は、ロンドン・ビジネススクールを中心に行われた「働き方コンソーシアム」による世界的な研究に基づいており、2025年の働く人々の日常生活をリアルに描写しています。その未来には、「漫然と迎える未来」と「主体的に築く未来」の2つの選択肢が存在します。

「漫然と迎える未来」では、孤独で貧困な人生が待ち受けており、自己の選択や行動に対する主体性が限られています。一方、「主体的に築く未来」では、自由で創造的な人生が可能であり、個々の選択や努力が大きな影響を持ちます。

この二極分化した未来において、どちらの人生を歩むかは、「ワーク・シフト」と呼ばれる働き方の変革にかかっています。自己の選択肢を活用し、主体的に未来を切り開くことが、豊かで充実した人生への鍵とされています。

「ただ稼ぐだけの仕事」から意義ある仕事にシフトし、単なる忙しさではなく価値ある経験としての仕事へ、競争ではなく協力と共感をもたらす仕事へ。この変化を実現するために、執念と覚悟を持って選択すれば、未来は変えることができると信じています。

現在、私は内定率100%の就活塾「ホワイトアカデミー」で講師を務めています。日々、学生たちと対話する中で、「どこで働けば最も稼げるのか?」、「未来に備えてどの能力を磨けばいいのか?」、「どのようなキャリアの道筋を描けばいいのか?」など、多くの重要な質問が寄せられます。

一方、現役のサラリーマンから聞く声は、「いつの時点で仕事を退くべきなのか?」、「退職後はどうやって過ごせばいいのか?」、「どうやってキャリアの途中でサバティカル(長期間仕事を離れて、学校に通ったり、ボランティア活動などをしたりして過ごす骨休め休暇)を取ればいいのか?」、「勤務先の会社に対してなにを主張すべきなのか?」といったことを耳にします。

こうした人々の投げかけている問いが非常に重要なものであることは間違いないでしょう。仕事は、私たちの人生に大きな影響を及ぼす要素の一つです。その点は、現在も昔も変わりありません。私たちは仕事を通じて他人と触れ合い、心の高ぶりを感じ、創造性とイノベーション精神を最も発揮するのです。

これまでの常識が覆されようとしています。絶え間ない変化の時代が訪れ、社会のあり方が土台から変わるかもしれない未来がやってくるでしょう。

しかし、あいまいで根拠の乏しい印象論ではなく、未来の仕事のあり方について深く掘り下げた専門的な分析が必要でした。

同時に、仕事の場ほど、苛立ち、疲労困憊し、自分がないがしろにされていると感じる場はほかにないかもしれません。私たち一人ひとりにとっても、家族や友人にとっても、地域のコミュニティや社会にとっても、仕事は重要な要素なのです。

しかし、最近は過去10年間の働き方や生き方の常識が多くの面で崩れようとしています。朝9時から夕方5時まで、月曜から金曜まで働いて週末に休み、学校を卒業してから引退するまで一つの会社で勤め、いつも同じ顔ぶれの同僚と一緒に仕事をするそんな日々が終わりを告げ、得体の知れない未来が訪れようとしているのです。

その得体の知れない未来について、私は知る必要がありました。そして本書を読んで私はある程度の回答を得ることができたと思います。確かなことはわからなくても、未来がどうなるかというおおよその方向を知り、自分の志向と価値観に沿った一貫した視点を得る必要があるのです。

皆誰しも、自分にとって大切なすべての人たちが、働き方の未来を理解しなくてはならないのです。自分のために、そして大切な人たちのために未来に備えるうえで、それが不可欠なのです。そこで本書は、どのような未来が訪れる可能性が高いかを極力精密に描き出されています。

筆者は言います。2025年に、私と私の友達、私の子どもたちは、どのような人生を送っているのか?朝の10時には、どういう仕事をしているのか? ランチは、誰と一緒に食べるのか?どのような業務をおこなっているのか?どのようなスキルが高く評価されるようになるのか? 私たちは、どこに住んでいるのか? 家族や友人と過ごす時間と仕事との関係はどうなるのか? 私たちは、誰から仕事の報酬を受け取るのか? 私たちは、いつ仕事を退くのか?

私たちの考え方や願望がどう変わるのかも知りたかった。

具体的には、次のような問いに答えたいと考えた。2025年に、 私たちは、どのような仕事観をもっているのか? 私たちは、どのような仕事をしたいと思うのか? 私たちは、どのような希望をいだくのか? 私たちは、なにが原因で夜眠れないほどの不安を感じるのか? 私たちは、自分のために、そして未来の世代のために、なにを必要と感じるのか?

このような日常の行動と考え方は、私たちの働き方に大きな影響を及ぼします。これらの問いを通じて未来の世界を精密に描き出すことによってはじめて、働き方の未来がどうなるかが理解できるのです。

一見すると単純に思える問いですが、過去から現在へ、そして未来へと、一本の道がまっすぐ続いているわけではありません。どのような未来が訪れるかという点に関しては、いくつもの可能性があります。現在から未来に向けて、いくつもの道が枝分かれしているのです。どの道に進むかは、自分で選択できます。では、具体的にはどのような道が枝分かれしているのか。未来のさまざまなシナリオを正確に描き出すには、どういう方法を用いるのが最適なのか。

この先、私たちはとても大きな変化を経験するに違いありません。「よい人生」を送るための条件について、これまで漠然といだいていた常識の多くを問い直す必要があるのではないでしょうか。変化に目を閉ざすのは無謀で危険だし、過去にうまくいったやり方が未来に通用すると決めつけるのも楽天的すぎます。

それは、自分と大切な人たちの未来を危険にさらす態度と言わざるをえません。働き方の未来を的確に予測し、精神的な幸福と経済的な豊かさを得られる働き方を見つけることは、将来の自分と大切な人たちにあなたが贈れる素晴らしいプレゼントだと思います。未来について考えて行動することを後回しにし、手遅れになるのは避けてほしいと思います。

今回は以上となります。

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