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生まれながらに背負わされたものを受け入れることを学ぶために必要なこと

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Hey! What's up people~!? 鎌田です。それでは編集者目線で気になった本をあなたにご紹介させていただきたいと思います。

今回はこちら、生まれながらに背負わされたものを受け入れることを学ぶために必要な書籍、「赤毛のアン・シリーズ 全12冊セット」です。

私が「赤毛のアン」シリーズに出会ったのがいつなのか、全く思い出すことができません。思い出せないということは、40年以上経っているのと、おそらく図書館などではなく、アニメ番組の「赤毛のアン」から入ったのかもしれないなと思ったり。

私はアニメを批判つもりは毛頭ありません。しかし、記憶の定着という意味において能動的か受動的かということでは読書の方がより鮮明に覚えているような気がします。

この「アン・ブックス」といえば、姉の本棚に入っていた紫と白のバイカラーに装丁されたハードカバーのシリーズがきれいに並べてあったことを記憶しています。

姉の持ち物だという意識が強く、その素朴な線画のイラストを眺めながら覗き込むまでしたことがなかったので、私なりに頭の中で物語の景色はきっと最高に美しいアボンリーなんだろうと思い描いていたのです。

これを白状するのは少々気恥ずかしいのですが、記憶を呼び覚ませないような小さな頃から50歳に至るまで、アン・ブックスは私の記憶には中心ではないけれど常に傍らにあるんです。

心の中には澄んだ空気や匂い立つ花々、そして輝く湖が自然いっぱいのカナダ・プリンス・エドワード島の小さな村アヴォンリーに広がっているのです。

カナダの作家、ルーシー・モード・モンゴメリ(1874~1942年)が書いた小説『赤毛のアン』は、物語は緑の屋根が目印のグリーンゲイブルズに住むマシューとマリラ兄妹のもとへ、赤い髪の毛とそばかすだらけの顔をした小さな女の子がやってきたことから始まります。

このマシューとマリラという老兄妹に引き取られた、好奇心旺盛で想像力豊かな少女アン・シャーリーが、プリンス・エドワード島で生涯の友と出会いや楽しい事件を次々と起こしていく中で素敵な女性に成長していく様が描かれた作品です。

日本では小説のほか、アニメやミュージカルでも親しまれており、赤毛のアンが1908年に最初に公表されたときから世界中の多くの人がこの物語に魅了されてきました。

皆様の中にも、赤毛のアンの物語を読んで、プリンス・エドワード島に訪れた人もいらっしゃるのではないでしょうか。聖地巡礼というやつですよね。

赤毛のアンの登場人物はいずれも魅力的です。

マシュー・カスバートは、グリーンゲイブルズに妹のマリラと二人で住む60歳の老兄で、人前に出るのが苦手で特に妹であるマリラ以外の女性とは満足に会話する事もできません。

だから結婚もしなかったんですけど、アンと出会ったその日から不思議とアンの魅力に引き込まれ彼女の育ての親となっていくのです。アルプスの少女ハイジのアルムのおんじにも似た感じをイメージしますね。

一方でマリラ・カスバートは、グリーンゲイブルズに兄のマシューと二人で住む老妹で少々口うるさくて堅苦しいところがあって、これまた結婚もせずに兄と一緒に暮らしています。

最初はアンの事を躾のできていないお喋りな女の子とくらいしか考えていませんでしたが、次第にその魅力に引き込まれていきます。これもロッテンマイヤーをほうふつとさせますね。

レイチェル・リンドは、グリーンゲイブルズの近くに住むリンド家の夫人で、マシュー曰くお節介なお喋りおばさんです。マリラの話友達で10人の子供を育てた事が自慢の種です。

ダイアナ・バリーは、グリーンゲイブルズの向かいの丘に住むアンと同い年で、黒髪のふっくらとした体型に薔薇色の頬をしているとても綺麗な子です。

出会ったその日からアンと友達になって一緒に遊ぶようになります。お酒を飲むと笑ったり泣いたり怒ったりと少々たちが悪い一面もあって憎めないキャラクターなのが魅力です。

アンのクラスメイトのギルバート・ブライスは、背が高くてハンサムでかっこよくて、女の子の人気があります。

ある日アンのことを「にんじん」と言ってしまったためにアンに石板で頭をたたかれ勉強においても宿敵となってしまいます。アヴォンリーの先生の座を譲った事から仲直りし、後に結婚することになります。

そして、アンは物語の中で少しずつ、魅力的なキャラクターに囲まれながら大人としての生き方をみつけるのです。

そんななかで彼女の特長というのは赤毛です。昔、赤毛の人たちが魔女狩りの犠牲になった、なんていう物騒な話もある赤毛です。アンも赤毛のせいでからかわれたり、赤毛が悩みの種となる髪の毛の色として描かれています。

一方で少女たちのあこがれ、「長くつしたのピッピ」も赤毛の女の子です。ドイツでも赤毛という髪の毛の色はわりと珍しく、とても目立つのですこし特別です。


しかもアンは孤児で、アボンリーの村ではどこか異邦人の雰囲気が漂っています。そして空想が大好きで、ときに現実との区別がつかなくなるほどのアンは夢見る少女なんです。

生まれながらに背負わされた特徴ややっかいな性質を「受け入れる」のは、非常に難しいことでしょうね。自分を憐れんだり、他人を妬んだりもするでしょう。ときには人からのいたずらな言葉に傷ついたり、自己否定の気持ちの中に閉じこもってしまいたくなるかもしれません。

しかし自分よりはるかに恵まれているように見える同級生たちを前にしたとしたら自分であればどうやって生きていったらいいのか、その最適な答えを導けなかったかもしれません。

しかしこの難問に、アンの生き方は勇気を与えてくれると感じました。

アン・ブックスの中には、自己否定や不幸の中に落ち込んで、身動きがとれなくな っている人物が何人も登場します。

『アンの幸福』のキャサリン・ブルックや『アンの夢の家』のレスリー・ムアなどが印象に残るのではないでしょうか。

不幸な家庭に育ったせいで経済的に困窮し、自ら望みの一切を捨てて皮肉と傲慢の堅い殻に閉じこもっていたキャサリン・ゲイブルズに誘われて滞在したグリン・ゲイブズのクリスマスで「生まれかわる」エピソードは、特に印象的でした。

彼女はアンとの2人だけの時間を過ごすうちに皮肉な態度を改めて自分本来の快活さを取り戻したのです。

こういった往年の名作から学ぶことは多いですね。

それではまたお会いしましょう!

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