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転職と履歴書について

先日、とある方のコメントにたくさん転職したという話を書き込んだら、「ご経験が豊富なのですね」、と返されて、そういう言い方もあるのね~と感心し、嬉しくなった。(ありがとう🙇‍♀️)

今の日本は、昔ほどではないのかもしれないけれど、昔は履歴書に転職の数が多ければ多いほど、不利だった。
一つのところに長くいられないのには、何か性格・性分的に良くない理由があるに違いないと思われた。

実際のところ、私の職歴は、とても1枚の履歴書の中には入りきらない。
最初の農協に始まり、某S株式会社、個人輸入建材屋、ウェイトレス、アウトレットの店長、派遣での事務職、学習塾の先生、エレクトーンの先生、あと、高校生の時に美容院でもバイトしたなぁ。🤔


今の会社に入ったのは、40代最後の年だったので、まさに最後の転職だと思って面接を受けた。
家からそんなに遠くなくて、貿易関係のお仕事なので、今までの経験も英語も両方使えるし、何より正社員での募集だったので、ここに決まったらいいなと思っていた。

その受けた当日に、「明日BBQやるんやけど、来ぃへん?」と、今の部長に言われて、あっけにとられたことを覚えている。😅

つまり、その時点で面接合格だった訳だ。
うちの会社はとても間口が広い。
誰でも、本当にどんな人でも、よっぽどのことがなければほぼ入れる。
ただ、やめて行く人もその分多い。

でも誰でもウェルカムなので、一度辞めた人が戻ってくる場合もあって、数人が戻ってきているのだから、良い会社なのだろう。


ロンドンで勉強していた時、本当はそのままイギリスで就職してしまいたかった。
もう日本に戻る気はなかった。
それくらい、日本での生活に疲れていた。

でも、運命はそんなに甘いはずもなく、ちょうどリーマンショックが勃発し、だんだんとイギリス自体の経済が落ち込み始め、外人に優遇している場合ではない、まずは国内からということで、外人の就職にとても厳しくなってしまった。

外人が働くには就労VISAが必要なのだが、それが取れないことには働くことは出来ない。
何か特殊な能力があるとか、ある企業から望まれていて、その企業がVISAを発行する、などない限り。

ということで、泣く泣く日本に戻って来たことから、また日本時間=めちゃくちゃ早く進む時間の中で生きることになった。


イギリスと日本の文化の差は色々あったけれど、イギリス=欧米の良いところは、”個人をとても大切にする”ところだろう。

”〇〇さんとこの娘さん”とかでもないし、”△△ちゃんのママ”とかでもなく、あくまでその人個人。

履歴書も、名前と住所と電話番号、メールアドレスは書くけれど、性別や生年月日などは書かないし、写真も貼らない
そんなのでその人を見るのではなく、大事なのはどんな仕事をしてきたか、職歴の方が大事。
もっと言えば、どんなボランティアをしてきたか、などの経験の方を見る。

この、その人の経験や中身を重視する、”公平さ”がとても良いところだと思う。
日本だと、年齢や性別で落とされたり、お給料が低くなったりする。
そういうのがない。


私がバイトで働いていた日本食老舗レストランには、作家の高尾慶子先生が時々お食事に来られて、作品を読んでいた私は感想を述べて、先生にとても喜ばれた思い出がある。

著作「イギリス人はおかしい」は、本当にイギリス人をよくとらえていて面白い本だった。

シリーズもので続きもあるのだけれど、私が最初に読んだ本がこれで、このシリーズ中にとても印象的なエピソードがあるので、ご紹介したい。

高尾さんが最終的にはあの「エイリアン」などで有名なリドリー・スコット監督の家にハウスキーパーとしての職を得、高尾節をうならせ、生き生きと暮らしてゆくのだが、最初の仕事を得た時には、当然未経験だったので(イギリスでは経験者優遇だから)、一度は断られた。

それで引き下がらずに、経験はないけれどやりたい意思はある、でもどこかで最初の経験というものをさせて貰えないと、いつまでも出来ないじゃない?その最初の経験をここでさせて貰えませんか?というような発言で、その職を得た、というものだったと記憶している。

何せ約20年近くも前に読んだものなので、言葉はだいぶ違うはずだけれど、そんなようないきさつだったと思う。😅

その部分に、いたく感銘を受けた。
確かにその通りだと思う。

経験って、きっと最初の方は失敗だらけだったり、要領が悪くて時間がかかったりするところから、だんだんと上手になったり早くなったりして、出来上がるもの。

最初のひとつをどこかで始めさせて貰えないと、いつまでも経験者には成れない。
それを知っているからこそ、一度は断った面接者も、OKを出したのだろう。


そのエピソードは、その後日本に戻ってからの私の仕事にも少なからず影響を与えた。

帰国後は事務職(しかしたことなかったから)で、履歴書を送るも、50社くらい送って、ことごとく落ちた。
40代女性が再就職にと履歴書を送ったところで、面接しようという会社は1つしかなかった。

そんなことが半年も続いて、さすがに何でも良いから収入を得ないと、と思い、たまたま新しく出来たアウトレットの新規採用で店長になった。

ここで、冒頭で言われた”豊富な経験”🤭が活かされる訳だけれど、それと同時に、スタッフの面接をすることになった時に、高尾先生のエピソードを思い出し、例え経験がなくとも、話していて本気でやりたいのか、本気でこの仕事が好きなのか、それが感じられる人にはかけてみようと採用してみた。

”好きこそものの上手なれ”は本当で、やはり好きだと覚えることも一生懸命。
経験者との差は、最初だけで、あとはやる気と努力ですぐに追いついた。


そんなことやあんなこともあって…の今があり、今の本業は、私にとっては終の棲家。
ここを辞める時は定年か、それより早くても再就職はせずに、副業で独立する時だと思う。

中々特殊なお仕事で、これも携わることが出来たのも何かの縁。
出来るうちは、心と身体が続くうちは適度に頑張ろうと思う。





※「イギリス人はおかしい」をざっと読み直したのですが、ここにはそのエピソードが入ってないので、他の本だったようです…。



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