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『映画館』は"特別な体験"なのか

自分の家から一番近い映画館が「TOHOシネマズ」で、日頃からお世話になっているのだけれど、2023年6月から鑑賞料金が値上げになるそうだ。

以下サイトより抜粋

たかが100円だが、この物価高の中では些細な値上げも結構手痛い。
近年ではそれほど映画館に足を運ぶ機会も少なくなったとはいえ、である。
しかし、常々思っていたことだが、映画1本当たりの鑑賞料金は果たして高いのか安いのか。

ざっと検索したところ、世界中の鑑賞料金の中では5番目に高く、アジア地域では1番高価らしい。ただこれは単純な値段比較であって、その国や地域の平均月収や生活水準もあるから、コストパフォーマンス面での比較は難しいかも知れない。

という訳で、日本における映画鑑賞代金としてどうかと言うと、現代においてはちょっと高いんじゃないか、と底辺サラリーマンの自分は思う。

映画館としても値上げはしたくなかっただろうし、サイトにある通り各種コストの値上がりは、消費者だけでなく企業においても例外ではないということなのだろう。

その企業努力のひとつが、ファーストデイやTOHOウエンズデイなどの値引きなのだろうが、日頃の生活ではかち合うことがないし、映画のためにスケジュールを合わせて休みを取るほどでもないので、イマイチ実感がないというか、ごく一部の層に向けたサービスと言わざるを得ない。

さて、こうネチネチ書いてきたが、本題である。
「映画館で映画を鑑賞する」と言うこと自体の価値は、現代においてはそこまで高くないのではないかと考える。

少なくとも、自分が子供の頃は”映画”というものはそれはもう特別だった。
家族・友人のみならず、知らない人たちと肩を並べて巨大なスクリーンで迫力のある映像・音響を体験できるライブ感みたいなものは映画館ならではだったし、最新の映像技術に触れる機会は貴重なものだったと思う。
昔は画面も家庭用テレビとは違う横に広い比率になっていたし。

ただ、上記の多くは時代の流れによってある程度一般普及してしまった。
テレビだって昔は小さかったけれど、今では100インチのモニターであっても
100万円でお釣りがくるレベルのものがある。
ある程度の空間があれば、立体音響設備だって備えられるし、ホームシアターも珍しくない時代になった。

映像レベルもゲームなどが追い付いてしまったし。。

集団で鑑賞すると無視できないのが「鑑賞マナー」である。
自分は周りが喋っていようがあまり気にならないタイプだが、人によっては折角の映像体験を損ねてしまうリスクを抱えている。
この点については上映前の注意喚起程度で完全に排除することは不可能であるし、周囲への配慮が煩わしいと思って劇場へ行かない人だっているかも知れない。
この問題は、同じ空間に人が多ければ多いほど影響が大きくなる。
没入感という意味では、もしかしたら自室の方が優れているかも知れない。

映画館でお金を払って映画を鑑賞する、という意義は「映画館でしか上映していない作品を鑑賞する」ということにあった。だが現代においては上映から半年程度でソフト化したり、何なら上映初日に映像ソフトが売っていたりする。
情報の"速さ"という点でも、そこまで大きなアドバンテージは存在しない。

極め付けは"サブスクリプションサービス"の一般化だ。
これは以前ゲームがなぜ映画の様な文化活動に至らないかという話を考えた時に少し触れたが、今は動画配信サービスが非常に安価で優れている。
わざわざ映画館に行かなくても、少し待てば作品自体は見られるのだ。しかも好きなタイミングで、何度も。

こうなってくると"映画"の価値は必ずしも映画館で得る必要はなく、わざわざ遠くまで出掛けて、知らない人たちと並んで座って、じっとしながら流れている映像を眺めるという行為はむしろネガティブな要素になっている様に感じる。

それでもスタッフの方々は映画館にきてほしくて、椅子を消毒したり、客が落としたポップコーンを綺麗に回収したり、感染対策に空調を整備したり他にも色々頑張ってくれているのだが、消費者からすればそれはマイナスからゼロに戻すための作業であって、ただ密室に人を詰め込んで映像を垂れ流すということ自体の質が向上するわけもなく、こればかりは努力しても改善の余地はない。

そしてやはり、なぜ映画館で見ないかと言うと、コスパが悪いからではないか。
付加価値としては去年のワンピース映画のように、来場特典を付けまくるしかないが、これらは先述した通り"映画館で映像を楽しむ"という価値を高めた訳ではない。興行収入という見せかけの数値を盛るための努力に過ぎない。

じゃあ単純に値下げすれば客足が増えるのかというと、きっとそんなことはないのだろうが、一度くらい一ヶ月間は1本1,000円で鑑賞できるとか、TSUTAYAの様に定額で見放題サービスを提供するプランを設けるとか・・?

うーん・・

話は逸れるが(毎度逸れてる)、映画はデートに最適だと思う。
なぜなら、2時間程度隣に座って眺めていればいいからだ。
その間会話の必要がないし、それなりの近さで並んで居られるし。
観た後は感想を言い合うだけで会話が成立するし。

ただ、作品選びを誤った場合は御愁傷様であるが・・。

自分は映画館が大好きだし、これからも行くと思うが、コスト面で見るとやはりわざわざ行く様な場所でもない気がしている。
応援上映とか、ライブビューイングなどの変化球もあるが、そっちの方面で舵を切る方が案外うまくいきそうな気もする。。

余計なお世話だが、今回の値上げで更に客足が遠のいたりすることがないことを祈るばかりである。無限列車のようなブームがまた来るといいよね

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