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転勤族と転校生

4月、新学期。
この時期になると、思い出す。
新学期には必ず転校生がいたな、と。

わたしが住んでいた地域には、団地があった。
その団地はとても棟数が多く、子どもももちろん多かった。
この団地は、いわゆる、転勤族のための団地だった。
転勤族の家は、2〜3年で必ず引っ越してしまう。
そして入れ替わりに別の土地から別の家族がやってくる。
毎年毎年、新学期のたびに、1年生から6年生までどの学年にも転校生が来てた。
もちろんその1ヶ月前の3月には、どの学年からも転校して出ていく生徒がたくさんいた。
わたしたち子どもは、『団地の子たちは、いつか必ずいなくなっちゃう』ということを知っていた。
お別れは悲しかったけど、慣れてもいた。
そして、4月になればまた転校生が来ることも慣れっこになっていた。

そんな小学校時代だったので、転校生を特別視したりよそ者扱いしたりすることはまずなかった。
先生に言われなくても、当たり前に声をかけ、当たり前に学校の中を案内し、当たり前に一緒に給食を食べた。

Aさん『どこから来たの?』
転校生『埼玉県』
Bくん『へ〜。・・・それどこにあるんだっけ?』
転校生『東京の隣』
Cくん『お前そんなことも知らないのかよ』
Bくん『いーじゃん、ど忘れだよ!』
みんな『あははー』

行ったことのない県の知らない町の名前を聞いても、何も驚かなかったし、わからないからって仲良くならないなんてことはなかった。
そういうもんだと思っていた。

転校生の立場からはどうだったんだろうな。

転校って、わたしも1回だけしたことあるけど、はじめまして、の緊張感は覚えている。
また1から友だちを作っていくのは、簡単ではない。

それでも、大人の事情なんてわからない子どものころに、転校生を迎える側をずっとしてきたことは、大人になって知らない人と初めて知り合うときの緊張とか苦手意識のハードルを少しは下げる経験にはなったのかもしれない。

転校生の受け入れが多い学校の子どもたちは、性格の違いはあっても、その状況には慣れていると思う。
なので、転校生の君たちは心配しすぎなくてもいいよ、って思う。


最後に、
周りの大人たちはちゃんとフォローしようね。
ということも付け足しておく。
年が同じだからってすぐに仲良くなれるわけではないのだよ。
こどもだって緊張はするんだよ。

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