フマジメ早朝会議 ⒒青空フリマ 連載恋愛小説
青空フリマがやってきた。
半年にいちど、遊園地跡の公園でおこなわれる、素人から業者までありとあらゆるジャンルのお店が集結するわくわくイベント。
市の主催なので、抽選で当たれば一般は無料で出店できる。
「いいお天気~。サイッコーのフリマ日和ですねえ」
本日の相棒は、屋敷数仁。
こないだの焚き火会を断った埋め合わせだという。
余計な交流は好まないようにみえて、意外に律儀な人らしい。
起業セミナーで動けない広大に、予備校で勉学に励む苑乃子。
朝香は義実家へお呼ばれだそうだ。
日曜日でも、皆忙しいのだ。
***
「ぼけーっとしてないで、手え動かす」
搬入係としててきぱき立ち動き、ここは展示会場ですか?というくらいの本気モード。
広大に持たされたのぼりは、はっきり言って恥ずかしい。
「シッポ・マリコ参上て。レディースみたい」
今まではレジャーシートに品物を並べ、素人そのものだった恭可のブース。
今日は様変わりし、ついたてや引き出しなどで空間をうまく使い、目を引く仕上がりに。
三角形のバナーは、苑乃子のハンドメイド。
カラフルポップな端切れをささっと縫い合わせ、即席ガーランドを作ってくれた。
雲ひとつない青空のもと、楽しげに揺れている。
***
値札もまともに用意したことがないと聞かされ、数仁の中でなにかがブチギレたようだ。
「あーもう、栗林さんとかまどろっこしいから、恭可でいい?」
「いっすよ。屋敷さん」
とうの昔に数さん呼びだし。
キュッキュと素早く仕上がっていく値札たち。恭可は、その指先に夢中。
「わ~数字の書きかた、かっけー」
「さっさとディスプレイ」「へい」
トモシビのグッズと、恭可のイラスト関連。
我ながら、HAPPYオーラが出まくりのセレクション。
腰に手をあて、ほれぼれする。
(つづく)
▷次回、第12話「しっぽの秘密」の巻。
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