見出し画像

スクワットは「地面押し込み運動」…正しくやれば腰を痛めることはない! #5 ロジカル筋トレ

リモートワークが定着し、運動不足になりがちな昨今。自宅で腹筋をしたり、ジムでダンベルを上げたり、筋トレに励む人が増えているようです。でも、その筋トレで効果は表れているでしょうか? プロアスリートも信頼を寄せる、トレーナーの清水忍さんによれば、間違った「ざんねん筋トレ」をしている人が多いそう。そんな人にぜひ読んでもらいたいのが、著書『ロジカル筋トレ』です。ちょっとしたコツで効果が何倍にもなる、「正しい筋トレ法」をいくつかご紹介しましょう。

*  *  *

体の「中心軸」を意識しよう

私は、スクワットは「地面押し込み運動」だと捉えている。

とにかく、もっとも大事なのは地面を押し込むことだ。まずバーベルをかついで立つわけだが、このとき、「自分の体重とバーベルの重量の合計」の重さで地面を押し込んでいる感覚を持つといい。

画像2

次に、重さで地面に押しつけられている感覚をキープしながら、ゆっくりとしゃがんでいく。そして、体重とバーベルの合計重量以上の力で強く地面を押し込み、その反作用を使ってゆっくりと立ち上がっていくのだ。

このとき「バーベルを上げる」とか「立ち上がる」といった意識を持つのではなく、地面を強力に押し込んだ反作用によって“自然に体が押し上げられていく”ような意識を持つといい。

大切にすべきは「上げる」ではなく、「押す」という意識だ。地面を押すときに、頭の中で「押し込め」「押し込め」「もっと押し込め」と唱えてもいいだろう。こうした意識づけによって足腰で強く地面を押し込めるようになれば、よりスムーズにバーベルを上げられるようになるはずだ。

それと、このトレーニングをロジカルに行なうためのポイントは「中心軸」である。直立した際に、横から見たときの体の中心ラインを確認してほしい。自分の頭のてっぺんからくるぶしの下へと、まっすぐ下りていくラインが体の中心軸だ。

あまり知られていないのだが、じつはこの中心軸のラインに沿って体を垂直に上下させていくことが「スクワットで必ず守るべき基本」なのである。

体の中心軸に沿っていれば、体を沈める際には「くるぶしの真下へ向かって垂直に押し込む」かたちになり、体を上げる際には「真上方向へ垂直に押し上げていく」というかたちになる。この真下から真上への上下往復運動を行なっていると、尻の大臀筋をメインとして大腿四頭筋や腹直筋にしっかり力が入り、これらの部位が効率よく鍛えられることになる。

だから、よりロジカルにトレーニング効果を上げたいなら、「中心軸を絶対に外さない」というつもりでスクワットを行なっていくといいだろう。

腰を痛めないためにも……

一方、「ざんねん筋トレ」でスクワットを行なっている人は、この中心軸から外れて動いてしまっている。例を挙げるなら、上体を前傾させて股関節から体を折り曲げていたり、お尻を大きく後ろへ突き出しながら体を上下させていたり、腰を大きく反っておじぎをするような格好で体を上下させていたりといったパターンだ。

画像1

こうしたフォームで体を上げ下げしていると「バーベルの上下移動の距離」が長くなるために“やっている感”や“がんばっている感”を、より大きく得られることが多い。だが、自己満足はできたとしても、他の部分でのマイナス面がいろいろと出てきてしまうことになるのだ。

なかでもこうしたフォームのいちばんのマイナスは、地面を強く踏み込めなくなってしまうことだろう。地面は中心軸を保っていてこそ垂直線上に強く押し込める。だが、体を上下させる軸よりもお尻が後方へ行きすぎてしまうと、垂直に下へ押し込む力が弱まってしまうことになるのだ。

ただ、このようにお尻を後ろに突き出したフォームは大臀筋に大きな負荷をかけることになるため、大臀筋を鍛えるのを目的としてやるのであれば好都合ということになる。

しかし、やはり大臀筋という一部の筋肉だけに負担が偏るフォームはよいフォームとは言えない。スクワットは大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングス、腹直筋など下半身の筋肉を総合的に鍛えることのできるトレーニングだ。こうした総合的効果を引き出していきたいなら、中心軸を守って地面を強く踏み込んでいくのが本筋だろう。

それに、お尻を後ろに突き出したフォームでスクワットを行なっていると、腰が反って腹直筋に力が入らなくなるため、「たいへん腰を痛めやすくなる」というマイナスが出てくる。

スポーツジムなどで見ていると、腰痛になるのを防ぐために、腰をベルトで固めたうえでスクワットを行なっている人も多い。しかし、こうしたベルトを装着してスクワットをするのは「自分は腰を痛めやすい『ざんねんなフォーム』でやっています」ということを白状しているようなものだ。

だから、私がスクワットを指導する場合はたとえ高齢の方でもベルトを完全禁止にしている。中心軸をキープしたロジカルなフォームを身につけてしまえば、腰を痛める心配はない。スクワットでの腰痛を防ぐには、腰をベルトで固めるよりも、ロジカルなフォームを固めることのほうがはるかに有効なのである。

実際、私が指導しているアスリートたちはベルトを使用せずに200キロのバーベルをかついでスクワットを行なっているが、腰痛になる選手はひとりもいない。それどころか、もともと抱えていた腰痛が改善した選手がいたということもつけ加えておこう。

◇  ◇  ◇

連載はこちら↓
ロジカル筋トレ 清水忍

画像3

紙書籍はこちらから

電子書籍はこちらから

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!