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大学と地域の連携を整理する

鳥取で地域と学生をつなぐNPOをやっているゲンヨウです。大学と地域の連携に関する会議に出てきました。COCなど施策として地方の大学と地域の関係性も強くなっていますし、都市部の大学も地方創生の流れもあってフィールドとしての地域に着目しているところもあります。

1.大学×地域の好事例とは何か

大学×地域の好事例とは何か・・・わかりやすいのは、大学の研究フィールドとして地域が機能しているような場合、社会実験が成功したなど、比較的専門性×地域課題のマッチングがうまくいった場合でしょうか。

地方創生の成功事例集(H29年)を見ると大学×地域であがっているのは、北から東京農大×オホーツクの商品開発の事例(大学の専門性で社会人育成+出口連携)。宇都宮大学の地域デザイン科学部(地域活性化人材の育成プログラム:学生育成)福井大学の就職につながる支援(地域への人材定着)、高知大学の地域協働学部(育成プログラム+学生活動など教員も含めた実践)、大分県のAPU(留学生など多文化×町)が見られます。

読んでいると、大学の得意・特徴的な部分と地域のニーズをうまく合わせたものになっており、よい掛け算になっているなと思います。それ以外にも小さな部分では研究協力などで関わっている地域は多そうです。

2.お互いのメリットや強みを整理する必要がある

大学×地域という形でも、実は主体によってメリットや強みが変わります。誰を主人公にして、誰に対して何をするのかという部分の整理をすることで、関わり方が少しすっきりすると思います。

(大学)教員、学生、大学組織
(地域)役場、地域、個人

大学と一言に表現しても、上記に書いたように決断に至るまでには、3つのニーズにどう対応するのかがポイントになります。教員、学生、大学組織。

教員のニーズ→研究対象になるか、教育機会になるか
学生のニーズ→キャリアに活かせるか、興味にあうか、バイトになるか
大学組織にニーズ→教育機会になるか、先進的な動きになるか、地域貢献

わかりやすく書くと、教員は個々の研究もありキャリアもあるので、研究になるの?というポイントが強いです。もちろん、人材育成も大学の務めですし、育成の好きな先生もいるので、一概に言えないですが論文が一つの研究者の評価指標であるので、論文書けるのかは大事な視点の一つです。

学生に関して言えば、わかりやすいニーズとしては、単位でるの?とかお金もらえますか?とかです。自分の興味のある体験ができるとか、知識が得られるのかも大事です。

大学組織としては、世の中のオーダーに答えられているかです。例えば、地域貢献という実績が必要であれば、そういうプロジェクトの数なのか質なのかはわかりませんが実績が大事になってきます。

そして、地域側にもニーズがあります。

役場(行政)のニーズ→大学の専門性で地域課題を見つけるor解決する。大学と連携しているという事実、大学生を地域のプレイヤーとして欲しい
地域のニーズ→大学の専門性、大学生の人的資源、アイデア
個人・組織のニーズ→アイデア、作業要員(バイト・ボランティア)

大きく分けると2点で、専門性を活かして地域に還元するか、人材として地域で動いて欲しいかという2点です。

3.仕組みを変える方法、目の前の課題に答える方法

僕らとしては、仕組みを変えるのは立場上難しい(大学の内部の人ではないので)、どうしても後者の「じゃ、どうやったらできるのか」という部分からスタートすることになります。

(1)目の前の課題に答える方法

これは地域の課題からスタートする場合と、大学生のやりたい事(課題感)からスタートする場合の2点になります。

両方とも、現状把握をしたうえで連携できる人や組織を探します。状況に応じてプロジェクトを組成してチャレンジします。期間限定で組む場合もあれば、長期に実施するものもあります。

大学の外で自主的に行うという部分が自由度を高めます。大学生が商売を始めようがそこは自由です。もちろん、地域・大学生ともに相手を意識して連携方法を模索しないといけない部分はあります。継続を意識することは大事なことだと思っています。もちろん、チャレンジなので失敗や撤退はありますが、相手とフェアな関係性でやっていくことは大事です。

目の前のことに答えることの大事なポイントは、大学生の時間が限られていることにも起因します。「4年間しかないので、仕組みが変わるのを待っていられない」という状況もあります。スモールスタートでもやってみることの方が、本人にとっても貴重な経験になると思っているからです。

(2)仕組みを変える方法

目の前の学生や地域の課題に答えることも大事ですが、最近は仕組みについても考えないといけないなと思うことも増えてきました。一つは、学生時代の課題意識だけを起点にすると、それほどプロジェクトは上がってきません。それは高校までの教育で地域課題にはほとんど触れませんし、自分のキャリアについても考えることがほとんどないので、考えたことのない子が多いです。そこについては、揺らぎを与えるようなプログラムが仕組みとして提供されていると、母集団が増えると感じています。

一方で、仕組みを変えるのは中の人と、かなり情報交換しながらやっていく必要があるので、その辺の情報共有できる仲間がいるかということが重要になってきます。わかりやすい提案書や事例、エビデンスも重要になってきます(まだ僕らは苦手な部分です)。

4.大学生の経験値にあわせたプログラム提供を

鳥取で事業を行ってきた中で、大学生の経験値にあわせたプログラムを大学などと連携して提供する必要性もあるなと感じています。

圧倒的に、学内の情報が乏しいので地域に出てチャレンジするという雰囲気はつくれてません。それが必然というわけでもないので、そうだとは思います。大学内で、緩やかなプログラムを体験して、一歩踏み込んだものは民間プログラムに参加するような流れになると、既存の大学の地域連携も含めてよい流れになると思っています。

現場への大学生派遣のフォローっておそらく、深くなればなるほど、教員は当事者としては関わりにくく、ノウハウも必要です。コミュニケーションコストも結構かかります。最初の調査の部分については関わりやすいですが、そこから実行に移ってしまうとやりにくかったりすると思います。「調査対象なので客観性がいるんだよね」と言われたこともあります。

なので、実行部分のプロジェクトは僕らのようなNPOなどに分担して、大学は基礎プログラムで母集団を増やす方法をやるのがありなのかもしれないです。

そういった、受益者ごとの整理と、レベル感(レイヤー)ごとの整理ができてくると、的確な施策が考えられるのではないかと思っています。

今日はここまで。





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