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絶望プログラマー(最強のITスキルは素直さである)

こんにちは。
先日会社で同僚の女性社員の髪型が変わっていたので、ここぞとばかりに「髪を切ったんですね」と声をかけたところ、

「え? 巻いただけですけど」

と見事なカウンターパンチをもらってしまいました。
いつの時代も女性に声をかけるというのは難しいもんです。
絶望です。

さて、今日はIT業界で生きていくために必要なスキルについて話したいと思います。

最強のITスキル

ズバリ結論から申し上げて、必要なものは対人スキルです。

えー? 技術力でしょ?
と思われるかもしれませんが、25年間、典型的な弱肉強食の世界で生きてきて、多くの同僚の脱落、逃亡を見てきた私から言わせていただければ、間違いなく対人スキルが必須です。

技術力だけでのし上がるというのは非常にレアケースでして、仕事っていうのはひとりでやるには限界があってですね。どんなに技術力があっても大きい仕事を成し遂げるとなると個の力では足りず、チーム力が必要になってきます。

チームにはメンバーが複数いて、それを束ねるリーダーがいます。リーダーは方向性を示し、メンバーはリーダーについていきます。
リーダーはメンバーに作業指示を出します。この時に用いられるのが対人スキルです。
リーダーからの作業指示に対してメンバーが悩んでしまったら、別のメンバーが助けに入ります。この時も対人スキルが用いられます。

そんなわけでして、技術云々の前にまず人とのコミュニケーションが入ってくるわけです。
※私の中ではコミュニケーションは目標達成のための手段と定義しています

対人スキルにはいろいろな要素がありますが、中でも最も重要なものが素直さです。
この素直さってやつは歳を取ると無くなってきてしまうので厄介です。

歳を取っても素直さを維持するってほんと難しいと思うんですよ。会社に長く務めれば自分の立ち位置が上がったり、古株ということで扱いも変わってきますよね。

・20も歳が離れている若手に開発言語の質問できます?
・若手からの指摘を黙って聞くことができますか?

私が知っている、仕事で成功している人たちは皆これができます。もちろん技術系の人もいます。その人とは付き合いがあって若い頃は尖っていましたが、今は技術部門の部長をやっていて多くの若手プログラマーを束ねています。

私の部下にもテクニカルリーダー、いわば職人の道を目指す若手がいまして、対人スキルの重要さを言い続けてきたのと、素直にそれを聞いてくれたので、うまい具合に成長してくれました。
入社当初は寡黙で人と話さずひたすらコードを書いていたのが、今ではBP(ビジネスパートナー)さんに作業指示を出す立場となり、意識して会話しようとする姿をよく目にします。

本質を見極めろ

新人教育を続けてきていろいろなタイプの若者を受け入れるのですが、やたら技術ばかり意識している子が中には居まして、このタイプの子に技術だけでなく対人スキルも重要であることを擦り込ませるのは、凄く難しかったりします。

人を変えることって大変で、20代であれば頭が柔らかいのと真っ白の状態で比較的変わり易いのですが、これが40代となると変えることはほぼ不可能でして、新人教育と中途社員へのオンボーディングは毛色が異なりアプローチを分けています。

毎年新人と1on1を続けてきて、新人の反応によってはけっこう危ないなと感じる時があります。それは以下のような台詞が新人の口から出てきた時です。

「プログラマーなんだからプログラミングができれば良いじゃん」
「とにかく新しい言語での開発を経験したい」
「JavaとPHPなんてもう化石だ、Reactがやりたい」

採用面接では控えめだった子がこんなことを言い出すのは、簡単な仕事(プログラミング)ができてきた頃からです。
こうなると鼻を折らなければなりません。これもうまくやらないとへそを曲げてしまうので、なかなか大変です。なので以下の本を読んで勉強しました。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 岩崎 夏海 (著)
マネジメント[エッセンシャル版] ピーター・F・ドラッカー (著)

新人も含めて若手には5年、10年先を考えて動いてほしいと思っています。1on1でも繰り返し話すネタで「またそれか」という顔をされますが、それでも言い続けています。

その時流行っているプログラム言語をひたすら追いかけて疲弊するのではなく、本質的な部分をおさえて効率的に動くべきだと。

この本質的な部分というのが対人スキルでして、中でも素直さが重要なわけです。
結局、仕事ってひとりじゃできないんですよ。誰かしらと絡むわけです。起業したってお客様と絡みますよね。アプリ作って売るにしたってお客様がいるわけで、クレーム対応だってあります。

システムを作るにしてもひとりで流行の開発言語を追っかけて全部マスターするなんて不可能です。知っている人に聞いたり、分担したりして作業を効率化していくわけです。

仕事の話だろうが雑談だろうが、絶対に人と人の間で会話があるわけです。

技術云々の前にまず会話なんですよ。
新人にはそこに注目してほしいんですよね。Reactがどうのとか、Vue.jsの方が良いぜとかそんなところに注目する前に、会話、対人スキルに注目してほしいわけです。

なぜ会話が重要なのかというと、理由はシンプルです。

会社のシステムというのは独自なものが多いので(特に仕様部分)ググっても分からないのです。先輩なりお客様に聞くしかないのです。
それなのに人と話したくない=会話しないなんてことになったらThe ENDですよね。

人に聞くとき、教えてもらう時って自分よりもスキルが格上の人と接するケースが殆どです。その時にどのように話したらうまく情報を引き出せるか考えるわけですから、必然的に対人スキルが必要になるわけです。

で、どうせ教えてもらうなら相手に気持ち良くしゃべらせた方が後々メリットが多いわけですよ。多少ネガティブなことを言われても「勉強になります」と返しておけば相手は気分を損ねず「この子は素直だからもっと教えたいな」と思われるわけですよ。

新人が困って聞いてきて嫌な顔するベテランってあまりいないです。ベテランだからこそ器が大きいわけで対応できるんです。たまに虫の居所が悪い時に話しかけてしまって地雷踏むかもしれませんが、それを見極めるのも修行のうちです。

なので新人にはまず素直になってほしいですね。素直さはスキルです。これから長い社会人生活において、素直さというのはすべてに対してプラスに働きます。

いくつになっても素直な人は相手の年齢関係なく意見を受け入れ、仕分けし、新しいものを生み出します。だからこそ、そういう人って会社にとって特別な存在になるのです。

会話が苦手だったら

人と話したくないからIT業界に来たという若者に遭遇することがあるのですが、正直、業界のことをきちんと調べなかったんだなという印象を受けます。

実は私も「人と話したくない」時期がありまして、その頃は「この世から消えて無くなりたい」と迷走していました。詳しくは↓

なので気持ちは分からないでもないです。
私はまず聞くことから始めました。相手にしゃべらせることを意識したのです。そして本を読んで相づちの打ち方を学びました。

挨拶も必ずするようにしました。当たり前と言われるかもしれませんが、当時は挨拶すらできないダメ人間でした。

挨拶ができるようになるとそこから世間話と雑談となり、ひたすら聞くことに徹しました。しばらくすると雑談の延長線で「ちょっと分からないことがありまして聞いてもよろしいですか?」という台詞が自然に出てくるようになりました。

それを繰り返していると、どの先輩がどんな技術を持っているか分かるようになり、あちこち先輩の席に行くようになって、いつの間にか先輩から話しかけてもらえるようになりました。

その時に思ったんです。
これが対人スキルってやつだと。

同時に

・どうしても分からないときは人に聞かないと解決しない
・相手が教えてくれるか否かは相手次第だ

ということに気付いたのです。

メンターを探せ

それまでC言語だ、Javaだ、オブジェクト指向だとかそんなことばかり考えていたのですが、そういうものすべて取っ払ってメンターを作ろうという決断に至りました。私の人生で大きな変化でした。

それから数年後、私は自分が目標とする上級プログラマーに出会います。
SESの出向先で半年ほど同じプロジェクトで一緒になったのですが、こんな人になりたいと心底思いましたね。

その人はJavaがメインでC言語がそれほど得意じゃなくて、こんなペーペーの私にも「教えていただけますか?」と頭を下げてくる人でした。年齢が二回りも離れており、私が緊張しながら回答すると笑顔で「ありがとう」と言ってくれる人でした。

別会社の人だったのですが、テクニカルリーダーの肩書きを持っており、一度その人のJavaソースコードを覗いたことがあるのですが、まさに「美しい」というコードで衝撃を受けたことを今でも覚えています。

結局その人とはプロジェクトカットオーバーでそれっきりとなりましたが、その背中から多くのことを学ばせていただきました。

今、自分がその背中を二回りも離れた部下に見せる番となっており、新人と接する際に「あの人だったらこういう時どうするんだろうな?」と思い返すことがあります。

正直、上司だって人間ですので感情的になることがあります。

ミスを指摘されて真摯に受け止めて改善を目指す新人と
ミスを指摘されて他責にするばかりでいつまでも受け入れない新人

なんとかしてあげたいと思えるのはどちらですかね?

というわけで今日はこの辺で。


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