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~君の名前で僕を呼んで 5th Anniversary~朗読劇 「想像超え」尽くしのピアノ裏話 第三楽章 タオルありますか?

第一楽章では幻の楽器「オークラウロ」のご縁から、朗読劇「君の名前で僕を呼んで」にピアニストとして参加することになり、第二楽章では思わぬ豪華キャストとセットにひよった私、永田ジョージ。

ん?誰やねんって?そうですよね、では私が誰なのか、全知全能のAIチャットボットChatGPTに聞いてみましょう。

ピアニストってところ以外はほぼ全てあってない。そんな別の世界線に生きる圧倒的に優秀な永田ジョージはさておいて、バタバタと舞台初日が始まりました。

が、サウンドチェックで初めての体験が。手の平から、指先から、ピアノと接触する面という面から汗が出るのです。多分、今までに体験したことのない緊張感で交感神経が刺激されて、体が臨戦体制となったのです。

一曲だけシェイカーを振るのですが、いきなりすっぽ抜けて舞台上に飛んでいきました。本番だったらもう大アクシデントです。

慌てて舞台スタッフに「すみません手汗…」「どうぞタオルです」百戦錬磨のボクサーのセカンドごとくさっとタオルを手渡してくれました。本音としてはいっそタオルをリングに投げ込んでほしいくらいの緊張感でしたが、ここからの5ラウンドを戦い抜くのです。

緊張を少しでもほぐすために、イラストレーター・さきもとあきのぶさんがささっと描いてTwitterに載せてくれたCall Me By Your Nameオマージュ画像をプリントアウトしてピアノの譜面台に載せます。

それでも汗は止まりません。

いよいよ始まる朗読劇。そこからの2.5日は文字通り「光陰矢の如し」の如く過ぎていきました。

ゲネプロから感情むき出しの醍醐虎汰朗さんの号泣に当てられながらエンディング曲を弾いていたら、終わった後に若干過呼吸なのか呼吸困難なのかわからない状態になっていました。

どうしたらいいの、教えてChatGPT... 

うんうん…身体を動かしたくっても客席から丸見えだから基本微動だにできないんだよ!そうだね、最後は楽しもう!って無理だよ!普段のライブじゃないんだから物凄い責任を感じちゃうんだよ!

舞台の序盤、阿部顕嵐さんの台詞早口一気読みと共にサティの官僚的なソナチネを弾くシーンでは、台詞の最後と音の最後をコンマ数秒以内で合わせるのをゴルゴ13の2000m向かい風狙撃ばりに狙うため、それまでリラックスしようとしていた身体がまた一気に臨戦モードになり、そこからずっと緊張感が解けないのです。

ときおり視界の端から舞台に目を向け、主役の二人がキャッキャウフフしているのを微笑ましく見るのですが、ちょっと気を抜いているとあっという間にピアノを弾くタイミングがやってくるのでずっと手汗タイムが続きます。

ピアノ、タオル、ピアノ、タオル、タオル、タオル、ピアノ。
絵、深呼吸、暗転でこっそり身体をストレッチ、タオル、ピアノ。

公演回数が進むごとに、二人の台詞や動きのタイミングもちょっとずつ即興で変わっていくため、やっと慣れたと思ったら再度その場で狙いを調整。

高さ100メートルで、ゆっくり揺れてて永久に安定することのない平均台に乗っている気分、と言ったら伝わるでしょうか。舞台が終わってもう2週間以上経っているのに、これを書きながらまた思い出し手汗が出てきました。

PTSDか…今タオルください!

多少の想定外があっても、どんどん舞台は進みます。初日は終わった後に雪が振りました。二日目は舞台挨拶&トークコーナー時に舞台上で突然雪が振りました。最終日はトークコーナー後のミニライブでPA機材が特大のノイズを発し、演奏を中断することになりました。

劇場には魔物が棲んでいるとはよく言ったもので、毎回完璧に終わることがないんですよね。それでも、ちょっとのハプニングがあってもお互いにフォローしあいながら、円滑に進むように、お客様が楽しめるように公演を前へ前へと進めて、なんとか千秋楽を迎えました。

初稽古のときはちょっと緊張気味だった主演の二人も、脚本&演出の岡本貴也さんも、バンド3人も、終わったあとは戦友。健闘を称え合い、全公演終了後の安心感と達成感を共に味わいました。

阿部顕嵐 インスタグラムより
https://instagram.com/alanabe_official

そんな初舞台、沢山の仲間が見に来てくれたので、皆さんとの記念写真なども少々。

執筆業でめっちゃ忙しい小説家の大木亜希子さん。彼女の書いた「シナプス」という話をインスピレーションに即興曲を弾いたこともありました。彼女の作品は心理描写がリアルで、読みながらいつも当事者の気持ちになってしまいドキドキします。

僕・大木亜希子さん・岡本貴也さん

俳優の中田絢千さん。中川龍太郎監督の映画「やがて海へと届く」や、数々のCMに出ているTHE自然体なお方です。


編集者&ライターの廣瀬翼さん。様々なライブも舞台をご覧になっているので、どんな感想かなとドキドキでした。公演後にパンフレットも買って下さったので、きっと楽しんで貰えたんだろうなあ。

ミュージカルスターの小此木麻里さん。映画ラプンツェルの日本語歌唱のみならず、魔法にかけられて2の日本語版にも出演した素晴らしきシンガーです。

俳優の緒方りょうさんと、俳優友達のREIIさん。昨年末のカウントダウンパーティでお会いして、「ピアノが好きなんです」と言っていたのでお誘いしてみました。映画「君の名前で僕を呼ぶ」も大好きとのことなので、朗読劇も気に入ってもらえて嬉しかったです。

シンガーのShuriさん。パワフルな歌唱と竹を割ったような性格の持ち主、今後の活躍も楽しみです。


以上、駆け足でご紹介しました。

見に来てくださった方も、遠くから応援してくださった方も、舞台を作って下さった全スタッフの方々も、そしてこんな素敵な舞台に声をかけて下さった土屋さんも。

様々な方のおかげで、僕も次のステージにステップアップするぞ・・・と、モチベーションがぐんと上がりました。

「君の名前で僕を読んで、僕の名前で君を呼ぶ。」

生涯、忘れられないフレーズです。

Call Me By Your Name. 


それでは、また会う日まで。

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