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【読書】『女王国の城』有栖川有栖【学生アリスシリーズ】


有栖川有栖さんは、Twitterの読書アカウントを作ってから、よく読むようになった作家さんです。他の方の読了ツイートで頻繁にお見かけし、面白そうだと思って手に取るようになりました。


以前、国名シリーズの『英国庭園の謎』について記事を書きましたが、今回は、学生アリスシリーズの『女王国の城』を読みましたので、紹介していきます。


🇬🇧『英国庭園の謎』の記事はこちらから↓


学生アリスシリーズ


英都大学の推理小説研究会に所属する部長の江神、有栖たちより1学年先輩の望月と織田、そして有栖と麻里亜を描く「学生アリス」シリーズ。


これまで、3作を読んできました。青春とミステリーの融合する作品は、どこか哀しい雰囲気もありつつ、どれも面白かったです。


新宗教の聖地、神倉へ


本シリーズ第4作、『女王国の城』は上下巻に分かれており、たっぷりとした分量に、読む前からわくわくします。


第3作では、有栖らが麻里亜を追って木更村へ向かいましたが、この第4作では、有栖らが江神部長を追って新宗教の聖地、神倉へと向かいます。


神倉には、人類教会という勢いのある新宗教の総本部が置かれ、多くの信者が住んでいました。UFOに乗って、救世主がやってくるのを待つ、という宗教です。


有栖らは江神部長と総本部の中で再会しますが、そこで、連続殺人事件に遭遇します。


また、神倉には、11年前に起きた事件で、未解決となっているものがありました。神倉から東京に出ていき、暴力団に入った男が、神倉に戻ってきて銃に撃たれて死亡したのですが、いわゆる密室状態から犯人が消え失せた上、銃もいまだに見つかっていないのです。


この迷宮入り事件の第一発見者である元警察官の椿も、事件の真相が気になって、神倉に出向いていました。


新宗教の総本部で起こった殺人事件と、11年前の事件に、関係はあるのでしょうか。


世界観をじっくり楽しむ


はじめのうち、事件は発生せず、人類教会や11年前の謎が説明され、お話は緩やかに展開していきます。有栖と麻里亜の絶妙な距離感に青春を感じたり、江神部長が神倉に来た本当の理由を考えたりしながら、読み進めていきました。


しかし、後半では、文字どおり疾走感、スピード感のある場面もあり、様々なことが一つずつ明らかになっていきます。


色々な出来事が、次第に繋がっていくのが素晴らしかったです。登場人物のキャラクターも濃く、世界観をじっくりと楽しむことができました。



学生アリスシリーズは、どれも読み終えた後に充実感があります。


お読みいただき、ありがとうございました。


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