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村上春樹「風の歌を聴け」を巡る心象風景



1979年という日本の分岐点に現れた村上春樹の長編小説デビュー作品であり、いわゆる“鼠三部作”の第1作。

青春の喪失、未成熟の謳歌、成長の拒絶。
取り戻すことの出来ない過去への悔恨を抱いて、青春を取り戻すように再読。

若者の罪とは、輝かしいものへの嫌悪感によって自らの手で葬り去ることなのかもしれない。
それが世界共通の記号ゆえに、作者はまさにポップカルチャーの騎手として軽々と世界を股にかけることができたのだ。
村上春樹は[喪失の象徴]として世界中で承認され、世界共通の心象風景として若者達は、淡々と流れ去る時や出来事らしからぬ出来事に自ら足を踏み入れて、青春ならではの虚無を見るのではないだろうか?
ある程度、人生という中に経験を重ね成熟を宿す時、本作の青春の日常は何と輝かしく映ることだろう…

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