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「英語力アップ」だけがリスキリング?

前回のブログで、「2030年までにはグローバル人材になっていた方が良い理由」について書かせていただいた。

今回は、グローバル人材になるためのリスキリングとは何なのかについて書いてみたい。

日本で仕事ができる人 + 英語力 = グローバル人材?


昔は国際人材、今はグローバル人材と呼ばれているが、その実態はどうも曖昧だ。

一般的には、赴任者や英語のできる商社マンとか外資系に勤める人たちのイメージがあるのではないかと思う。
日本におけるグローバル人材とは「日本で仕事ができる人に、英語力」をつければ出来上がりという単純な考え方がある。

私は、この風潮に違和感を覚える人間の1人で、この考え方が日本と日本人のグローバル化に大きな障害になってきていると主張してきている。

英語力アップでお茶を濁す?


ただ、「グローバル人材育成は英語力アップだけではないですよね?」から始まる私の考え方は、企業の人材育成ご担当者にとっては、禁句とまでは言わないけれど、あまり扱いたくないテーマでもある。

その理由は、それが「本当の事だから」だ。本当のことなので、一旦火がつくと本腰を入れて取り組む必要が出てきて後戻りをしにくい。そこに取り組んだ瞬間に、自分の仕事が複雑化する。なぜなら、多種多様な意見の中から、グローバル人材の定義を設定し、社内でコンセンサスを取らなければならない。

だからあえて言葉を選ばずに言えば、今は他のことですごく忙しいし、上からその課題が降りて来なければ、「英語力アップでお茶を濁す」のがとりあえずの結論になる。

それに加えて、英語力アップは定量化しやすい分かりやすい目標だ。前年のTOEICスコア平均点が何点で、自分の実績で10%上げることができた、のような定量で見せることができると自分の評価に跳ね返る。定量化原理主義の弊害だと私は思っている。

英語力+異文化コミュニケーション力が正解?


ただ、それではいかにも付加価値がないと言うことで、英語力+異文化間コミュニケーションというパターンもある。
この異文化間コミュニケーションに関しては、日本人が陥りやすいコミニュケーションの仕方が滑稽なので、欧米人に笑われているよ、のようなものが多い。1日楽しく自虐的に笑いながら過ごし、それなりに実用的なのでアンケート結果も良く、人事部としては扱いやすい。

気がついたら若者が「日本やばいっすね」


私が問いたいのは、それが「本質なのか?」ということだ。
まぁそんなことを20年から30年やっていたので、結局、日本人のグローバル化はほとんど進まなかった。その結果、日本は先進国には差をつけられ、グローバルマーケットでシェアを大幅に増やした新興国には追いつかれ追い越されてしまうという悲しい事態が起きてしまった。

そもそも、欧米やアジアのグローバル企業の人材は、すでにグローバルでのビジネス経験が豊富である。社員は多国籍だし、ネスレなどのグローバル企業の社員は、若いうちに数か国で働くことが課され鍛えられている。
当然のことながら、母語あるいは準ネイティブクラスの英語が使えないと採用さえしてもらえない。多国籍チームで働いたことのある百戦錬磨のビジネスパーソンばかりのところに、日本文化のビジネスしか経験のない、TOEIC 600から800点の片言英語の人材が放り込まれても、ミーティングで何の発言もできないし、議論など怖いので黙っているしかない。とてつもない劣等感を抱えて討ち死にするだけである。

日本のGDPは高度経済成長期の時に人口ボーナスとともに急上昇し、あれはあれよという間に世界第2位まで上り詰めた。私も含めた昭和の人は、やはり日本人はすごいなぁと単純に喜んでいたのである。ところが、ここにきて一人当たりGDPで韓国に抜かれてしまったりすることが起きて、日本悲観論が大勢を占めてきた。

最近は、若者と話していても「日本やばいっすよね」などと言われることが増えた。

では、この状態から脱するためにはどうしたら良いのか?もちろん政府がやるべき事はあると思う。ただ政府のことを言っていても、私たちには、どの政治家を選ぶかの投票ぐらいしかできない。

天才が生まれる文化 + 世界の超優秀人材を集めるグローバル企業


1人あたりのGDPの高さは、個人の生産性の高さと直接関係がある。

イーロンマスクのような変人だが天才が出てきて、そのビジョンをビジネス化して利益を出す超優秀な人材が国籍性別を問わず集まってくるのがグローバル企業の勝ち組である。

現在の日本の場合、変人の天才は潰されるし、日本人男性中心社会だから、外国人、特に外国人の女性の超優秀層は絶対に日本の企業で働きたい思わない。
いわゆるダイバーシティーを使ってイノベーションを起こすメカニズムは競合する海外の国に比較して圧倒的に低い。

前回のブログにも書いたが、少子化で男の子も少子なのだから、このまま昭和を引きずって日本人男性優遇社会の組織を作っても、ジリ貧は間違いない。

どんな能力をリスキリングするのかを見極め動き出せ!


では、なかなか手強い海外グローバル企業と競うために、日本企業のビジネスパーソンはどんなリスキリングをすれば良いのか?

それは非常に単純な話で、例えばシンガポール人のグローバル企業で活躍する人材と同じようなマインドセットとスキルを身に付けることだ。

私は2008年に「パーソナル・グローバリゼーション(幻冬舎MC)を出版して、自分自身のグローバル化は「自責」ですよ、と訴え続けている。
日本のように日本人だけで仕事をしている環境にいる人は、主体的に自律的に自分をグローバル化する以外に、個のグローバル化はありえないのだ。
どんな世界でもそうであるが、場数を踏むことが重要である。

ボクシングの井上尚弥選手は、現在米国に渡って世界のトップ選手とスパーリングを続けている。既に世界トップの技術を持っている選手が、そんな選手が集まっている場所に出向いていってさらに自分を磨く。これがプロの世界である。

グローバル人材にとって必須の英語力に関しても日本人は不利である。

シンガポールにいれば、英語ができて当たり前(公用語は4言語あるが、実質的には英語が公用語)であり、学校もビジネスもほぼ英語で行われている。したがって英語ができるかできないかと言う議論はない。

不利だからと言ってこのまま指をくわえて見ていても、日本はますます他国から引き離されるだけである。

そこで私が自分をグローバル化するために提唱しているのは、専門性+5つの要素を磨く考え方である。

以下が、5つの要素である。
この5つの要素を時代に合わせて「リスキリング」していくことによって、新しい時代のグローバル人材に自分自身を変革することができるのである。

1)ビジョナリーシンキング
2)セルフエンパワーメント
3)ダイバーシティー
4)コミニュケーション
5)グローバルイングリッシュ


次回以降のブログでこれらについて詳しく解説していきたい。


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