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愛をとりもどせ!!


人間の全ての感情が渦巻く場所といえば…。
そう、パチンコ店ですね。

どうも!
KONGです!
本日も前回に続き、KONGのパチンコ店員時代のお話。

パチンコ店員とは、どんな時でも紳士な対応を求められるお仕事…。

お客様とすれ違う時は、壁に背中を向けて、進行方向に手を挙げ

『ごゆっくりど〜ぞぉ〜』

と、道を譲る。

KONGのイギリス紳士的なバックボーンは、このパチンコホールで体得したと言っても過言ではないのだ。

しかし、ここはギャンブルの場。

お客様は常連さんであっても優しい人達ばかりではなく、怒りの感情を剥き出しにする人も多い。

その感情を表す手段として最も分かりやすいのが、

『台のボタンをバンバン叩く』

『台にパンチ』略して『台パン』。

普通のお店だったら、客がお店の物をバンバン叩いたりパンチしたりしたら

「他のお客様にご迷惑ですので…」

とか

「申し訳ございませんが、退店願います」

などの声をかけるだろう。

だが、紳士なパチンコ店員はそんな相手の感情を煽るような言い方はしない。

こう言うのだ。

『お客様がお怪我をされてしまいますよ?』

そう。この俺のパンチでなあ!!!!

バキィッ!!

グシャアッー!!!

…という事では当然なく。

台を叩いて手を怪我する人も少なくないので、注意しないといけないのだ。

そして経験上、この呪文で殆どの猛者達を一旦ブレイクさせてこれた。

そぅ、あの日を除いては…。


「ごゆっくりどうぞ〜」

来店時、必ず『北斗の拳』に座って遊戯をする女性がいた。

スラッとしており、ホールのスタッフからは『ユリア様』と呼ばれていたが、
お察しの通り、このお方も台を叩いたり台パンする事が多く、

『リアル北斗神拳伝承者』

として名を馳せておりました。

機嫌が悪い時は、店から出る時の自動ドアの『開くボタン』

ガコン!!!!

と思いっきりぶっ叩く。

衝撃でガタガタと揺れながら、ゆっくりと開く自動ドアにも遅さに腹が立つのか

タンタンタンタンタンタンタン!!!!

連続でボタンを押す姿を何度と目にしたことがあり、いつしかユリア様の退店時には

【スタッフがボタンを押して自動ドアを開ける】

という、2次被害を未然に防ぐ為の特別ルールが出来ていた。

ある日の事。

この日は北斗の拳イベントで、北斗の拳の台の当たる確率が高くなっていたのだが。

他の台がドル箱を積んで行く中、ユリア様の台だけが不調な様子。

やばい。

ユリア様を、只ならぬ緊張感が包んで行く。

そんな中、ユリア様の隣に座るお客さんが、大当たりを終えて満足顔で席を立った。

ユリア様はチラチラと隣の台を見ながら、悩んでいる様子だった。

『隣に移るか?それともこのまま打ち続けるか?』

俗に言う、揺れる乙女心というやつである。

結局そのまま打ち続けていると…

ついにユリア様の台に、とても熱いリーチがかかった!

『お!!!』

見るからに、ユリア様の心も高鳴っている様子だ。

『お!!』

『お!!!』

『お!!!!』

『お!!!!!』

『はずれたぁ!!!!!』

〈ガン!!!!〉

と、ホールに本日1発目のリアル北斗神拳が放たれた。

すかさず噂のMr.ジェントルマン、 KONGが一言声をかける。

「お客様、お怪我はないですか?大丈夫ですか?」

冷静になったのか、先ほどの一撃でスッキリしたのか、少し申し訳なさそうに無言で頷くユリア様…

俗に言う、ツンデレである。

その最中

ユリア様が先ほど気になっていた隣の台に、別の人が座って打ち始めており、

気がつけば、あれよあれよという間に、ユリア様と同じリーチにまでなっている。

まさか……?

『お!』

『お!!』

『お!!!』

『お!!!!』

『お?????』

当たるんかぁあああああい!!!

隣の台が先に当たってしまった!

その瞬間。

ユリア様の野生がついに爆発。

〈バンバンバン!!!!!!〉

激しく押される台のボタン。
アァタタタタタタタタタタアッ!!

〈バコン!!〉

本日2発目の北斗神拳!!!!
ホワチャアッー!

バンバンバン!!ゴンゴン!!

「理性はもう…死んでいる」状態のユリア様。
このままでは台どころか、ユリア様の手まで
「あべし」してしまう。
別のスタッフが再びササッと近づいて声を掛けた。

「お客様!お怪我をしてしまいますよ?」

「うるさい!!!」

全く聞く耳を持たないユリア様。
もはやラオウだ。

「もう!大怪我どころじゃないわよ!!」

(軍資金はもう…死んでいる…。)

ユリア様が、荷物をまとめながら席を立った。

それを見たKONGは慌てて自動ドアの方に先にまわり、
自動ドアへのパンチを防ぐ為に、先にボタンを押した。

「もうこねぇよ!!

この店にはなぁ!

客に対する『愛』が足りないんだよ!!!」

ユリア様はそう罵りながら、ホールを去っていった。

この日は北斗の拳のイベント日。

ホール内では、北斗の拳の『愛をとりもどせ!』が爆音で流れ続けていた。


それでは!

アタァァァァ!!(また)


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