【詩】黄金の髪のイズー
アイルランドの遥かな島から来た王女
黄金の髪のイズー
彼の人が丘の上でハープを弾く姿は
その髪の一筋一筋から妙なる音楽を響かせるよう
あなたは憂わしげな瞳で私をみつめ
私が言うべきことを言わないのを咎める
私はそれを恥じた
また私が武勇に逸り、心を疎かにするとき
あなたは悲しげに俯く
そうして私がいたたまれなくなると
いつも優しい白い手で慰めてくれる
あなたの詩に抱かれるとき
悲しみのトリスタンにも喜びが訪れる
あなたが幸福を教えてくれた、黄金の髪のイズーよ
北方で悲しみを覚えたトリスタンは
いつか南へ下り、あのトリエステの坂道を
あの人と上り、港を見下ろす
イズー、聖人君子になれない私を
あなたは淋しく思うでしょうか
私は生涯、聖人にも君子にもなれないだろう
それでもあなたを慕っている
高貴なるあなたの面影を抱いて
今日もささやかな歩を進めます
* 去年の11,12月は『トリスタンとイズー』の文庫を持ち歩いて読んでいました。中世の騎士道物語で、悲恋に終わるのでよく涙していたのを思い出します。
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