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映画感想『レオノールの脳内ヒプナゴジア』と『シャクラ』/上田映劇さん

先日は再び寒波が押し寄せ、氷雨が降る中でしたが、恒例の上田市上田映劇さんに、映画鑑賞にでかけてきました

手書きのイーゼル上演時間表

会場には早めに入れたので、少し場内を見てまわりました
上田映劇さんは協賛会員に入ると、こうして座席に名前を表示してくれるそうです 自分もやろうか迷ってます

最前列のゴジラさん 今日はこちらの席にしました


『レオノールの脳内ヒプナゴジア』

こちらは2022年のフィリピンの映画です
フィリピンの映画、というものにそもそも馴染みがなく、どんなお話なのかイメージがまったくわかなかったのですが
このポスターがとても魅力的だったので、観てみた次第です

頭のひらいたおばあちゃん


そしたら、ポスターのみならず、内容はもっと魅力的でした!
72歳の、もうおばあちゃんと呼ぶのがふさわしい年頃の女性レオノールは、かつて映画監督をしていたのですが、ずいぶん前に引退し現在は借金もある状態で、同居する息子も家を出たがっていて、とても進退極まった状況でいます
そんな時に新聞の広告で映画シナリオの募集広告を見つけ、一念発起し再び映画の製作に挑もうとするのですが、ひょんなことからテレビが頭の上に降ってきて大ケガし、その衝撃でレオノールおばあちゃんは自分の映画の世界の中に飛び込んでしまったのでした…っていう導入です
レオノールおばあちゃんが、とにかく魅力的なんですよね
かつて製作していた映画には、ちゃんとファンが多くいた描写がありますし、作中作として出てくる映画もちゃんと面白いです
またその映画が、コテコテのB級アクション映画なのがたまりません
銃撃戦ありステゴロあり、ラブロマンスも家族愛も盛り込まれた分かりやすい映画で、これをレオノールおばあちゃんが書いて製作してたと思うと感慨深いです
そもそも、ご高齢の女性の映画監督って現実世界にそうそういらっしゃらないし、しかもその監督の作りたい映画が、小難しくなく誰でも楽しめるB級アクション映画! っていうのが、めっちゃいい…好き…ってなっちゃったんです
レオノールはその後どうなるのかというと、わりとメタフィクションの展開に踏み込み、しかし細けぇことはいいだろ! とオチをぶん投げる結末になるので、相当に人を選びます
自分はめちゃくちゃ好きだし、エンディングのみんなで歌う場面なんか、ちょっと泣いちゃって「自分はなぜこの展開に泣くのか?」と疑問に思ったりもしたのですが、なんかもう理屈じゃなくて、好きだからいいんだよ、レオノールおばあちゃんも映画を作りたかったんだよ、だからいいんだよ! こういう映画がいいんだよ! って納得できちゃうんです
作中の細かな仕掛けとか、カット割りとか、要所要所ですごく繊細な事をされているのに、突然雑にもなるところとか、強い魅力と明らかな欠点が同居してるのが、本当に素敵で不思議な映画です
こういう映画のことを、ボンクラ映画っていうのかな、きっとそうなんだなと腑におちました

強く母と息子の関係を描く映画でもあるので、先日観たばかりの『ボーはおそれている』を連想したりもしました
『ボーはおそれている』は何か分からんけどめちゃくちゃ面白い!
『レオノールの脳内ヒプナゴジア』は何か分からんけどめちゃくちゃ好き! でも何が好きなのかよく分かんなくもなる! 
ひょっとしたら今年いちばんの愛するボンクラ映画、になるのかも…とほっこりふわふわする作品でした

おばあちゃんの笑顔が素敵なフライヤーです
映劇はんこ
『レオノールの脳内ヒプナゴジア』


『シャクラ』

いわゆるアクション映画はなかなか拝見できてないのですが、ドニー・イェンさんの映画がこれまで一度も鑑賞出来てなかったので、観てみました
「お前らアクション観たいんだよな? ドニーさんが観てぇんだよな!? ほら存分にやりな!」
って感じの、めっちゃドニー・イェンさん推しの、ドニーさんを堪能するための映画でした
基本ストーリーはシンプルで分かりやすい、と言うか、ドニーさんたちのアクションを鑑賞するのが1番の目的の作品に見えました
アクションシーンとアクションシーンの接続と脈絡のためだけにストーリーがあるようで、だからストーリーはわりと大雑把です
でも全然気にならなくて、ドニーさんをはじめとする皆さんのキレキレのアクションをたっぷり浴びました
そして、女優さんが驚くほどにお美しいですね
特に悪女担当の方がひれ伏すしかない美しさで、かの国の根本的な資本の強さを感じました

ところで、ストーリーをちゃんと把握して観る、という意識を怠ってアクションすげーな~って観てたら、後半で登場人物相関図がわりとややこしくなってしまって、
ああ、しまった! 油断した~( ;∀;)
と、あわててしっかり覚え直したりしました 油断禁物でした

それにしても、ドニー・イェンさんはすごいです
お顔立ちはどこまでも柔和で優しく、髭を生やしていてもむさ苦しくなく、むしろ上品です
しかし男らしい頼りがいもあり、その武芸の神業ときたらほんとに素晴らしいです
そこに立つだけで、“この男はどこか余人とは違う”という武侠もののヒーローとしての説得力に溢れていました
ラストシーンでのドニーさんの演じられていた姿がすごく素敵でした

ところでこれ、続くぞ~みたいな感じで終わってたんですが、ほんとに続きあるんでしょうか
あったら嬉しいですが…

ドニーさんかっこいいフライヤー
映劇はんこ『シャクラ』



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