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【詩】コウモリのように

 午後六時四十五分の空をコウモリが飛んでゆく
 粘着質な空をもがくようにコウモリが飛んでゆく
 眺めていた僕はふらふらとした自分に重ねる
 周りの目が怖くて そのくせ愛想よく笑う
 空は大きくて果てしなく 僕はどこにも飛べない
 そんな空をコウモリは愚痴を零さず 飛んでゆく

 僕はコウモリになれない 日和見ひよりみで楽な方向に飛びたいのに
 僕はコウモリになれない 願いを込めて空を眺めていると
 複数のコウモリが争っていた 道行きの邪魔になる同胞を追い散らし
 目指す先へふらふらと羽ばたいてゆく その姿に目が離せない
 飛べない僕を誘うように 大きく果てしない空に道を描く
 そんな空のコウモリに自分を重ねて 心は共に飛んでゆく

 コウモリになれない僕だけど
 コウモリになりたい僕なんだ
 コウモリのようにふらふらと
 いつまでも雄大な空を飛んで
 自由を手に入れる力を宿して

 僕はふらふらと飛ぶ コウモリになりたい

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