見出し画像

黒線地帯(1960)

黒線地帯(1960、新東宝、80分)
●脚本:石井輝男・宮川一郎
●監督:石井輝男
●出演:天知茂、三ツ矢歌子、三原葉子

夜の新宿を逃げ回る女とそれを追う男のタイトルバックで幕を開ける新東宝時代の石井輝男監督作。

軽快なジャズサウンドはカッコよく、やたら下からのあおりショットが多いのが特徴的で画的にも凝っている。

トップ屋、易者、ポン引き、女中、肉体女優…とこの映画に始まったことではないがやはり現代では使われることのない単語を聞くと、モダンな雰囲気の作品であればあるほどどうしても隔世の感を感じてしまう。

肉体女優とはストリッパーのことを指すんですね。

ここは休戦協定としようぜ」とか逆にこういう台詞は当然今のセンスでは思いつかないので、むしろカッコいい。

映画の途中で出てくる「海軍酒場」(ウェイトレスが水兵としてのセーラー服を着ていたりシンガポールとか変な源氏名付いていたりとコンセプチュアルな店)については当時の流行であったらしいが、映画の本筋には関係ないフェティッシュな配置と捉えると『パルプ・フィクション』のハリウッドレストランもなんとなく思い出した。

この映画のヒロイン、三原葉子の腋毛とグラマラスな下着姿が魅力的だが、清純派美女とはまた違った…古き良き昭和の顔立ちが何とも良い。

色々な女たちが出てくるが、三原葉子のインパクトは大きい。

劇中で主人公、天知茂が鼻をこする仕種と、三原葉子が突然始める「占い」(真剣な時にこれやられたらいくら可愛い子でもちょっとイラつくかもしれないが…)は何度か繰り返される。

最後のシーンでは天知茂が占いを、三原葉子が鼻をこするというお互いの決めポーズをやり合って幕を閉じるところが渋いです。



この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?