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徳川女系図(1968)

徳川女系図(1968、東映、90分)
●監督:石井輝男
●出演:御影京子、三原葉子、内田高子、吉田輝雄

いわゆる石井輝男監督の東映”異常性愛路線”最初の作品として世に放たれた本作。

江戸城の外観、城内をしっかり冒頭に映して映画に入るあたりは本格的な時代劇といったたたずまい。

大奥が舞台ということで絢爛豪華な打掛姿の女性たちが登場するだけでもう映像の力に圧倒される。

ここから半裸になっての乱痴気騒ぎが何度も繰り返されるわけだから、もう凄すぎる。

この後のエログロ路線の作品に比べたらまだエロもグロもさほど強烈ではないが、改めてこの本格的な(金かかってそうな)時代劇セットで繰り広げられる酒池肉林の狂宴は、色々な意味で今の世では絶対に作られることはないだろう。

大奥という閉鎖的な空間の中に50人以上はいるだろうか、大量の女たちによって画面が埋め尽くされている。

網走番外地』では女性キャストが2人しかいない完全な男映画だったが、本作では男が3人しか出てこず、とにかく女・女・女。

女・女・女だらけの裸相撲の迫力も凄い。

バカ殿のエロコントのグレードアップ版を見ているようである。

行事が決まり手を言うところで「松葉崩し~」とかいうのが面白かった。

ストーリーはいたって真面目で、大奥における江戸派と京派の派閥争い、夜伽役への出世争い、将軍家綱の孤独、老中柳沢の思惑などシナリオだけみれば十分普通の時代劇だ。

綱吉が相撲大会で勝ったおさよ(賀川雪絵)を床に呼び相撲の四十八手を組んずほぐれつするシーン、ここ本当に文字通り布団の上で相撲を取り合っているだけ。

監視役の女中が報告するシーンでも「それはまことの相撲か…?」などと確認されてるシーンがあって笑った。

その後も四つん這いで卵を口の息だけで前に転がし合う競走(足がチラリ!)とか、池で魚をつかみ取り(濡れ濡れ!)みたいなお戯れシーンが続く。

この辺り、石井輝男監督は「いや~くだらないねぇ」みたいな一種引いた視点を持ちつつ撮っていたのか、100%本気の力で撮っていたのかどっちなんだろう。


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