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直撃!地獄拳(1974)

直撃!地獄拳(1974、東映、87分)
●監督:石井輝男
●出演:千葉真一、西城正三、倉田保昭、中島ゆたか、郷英治、名和宏、芹明香、白石襄、安岡力也、室田日出男、ウィリー・ドーシー、ジョージ・エリキアン、ヤン・ハーマンソン、バート・ヨハンソン、ジューン・ヘラー、斉藤一之、佐藤允、水島道太郎、津川雅彦、池部良

めちゃくちゃな映画っていうのはまあ世の中にたくさんあると思うけど、もう本当にめちゃくちゃな映画。

まず全編に渡ってなんかBGMが変テコ。

チープなSF映画みたいな「ピニョーン」とか「ビヨ~ン」というSEが終始鳴り響いている。

主人公龍一(千葉真一)は甲賀流忍法の継承者だが、「こんなうちにいたらおれの青春は灰色だ」とか言いながら忍者になることに反発、父親との対決を経て家出をし私立探偵となる。

ストーリーはもうあってないようなもので、アクション的ギャグあるいはギャグ的アクションを表現するための都合よい舞台装置にすぎない。

桜(=トンチキ)が脱獄する際にすいとんの術でプールに逃げ込むも、見回りに来た看守の鼻かんだティッシュがホースに都合よく被さり息苦しくなるとかのくだらなさ。

敵を殴って文字通り目玉が飛び出るあたりの吹っ切れ度合い。

青と黄色のペンキを足に塗ってキックすると敵の顔がカラフルになるあたりは楽しいが、敵のあばら骨をいとも簡単に抉り出すとかにいたっては唖然。

中島ゆたかのパンチラを見てテーブルのコーヒーがこぼれ、ケーキの付いたハンカチで顔を拭いて顔がベットベト、とか絶対本筋に関係ないコントがただそれを撮りたいだけという理由(そうとしか思えない)で繰り広げられる。

本当にあんたら一体何やってんのって感じ。

空港で麻薬の運び屋を待ち伏せするシーンで、ローンウルフ(安岡力也)とかブレーザー西山とか一応劇中でもキャラの立った用心棒たちが映る中「あとのやつらもブラックリストに載った超一流の殺し屋ばかりだ」という台詞があるが、超一流の殺し屋たちの顔がなんですぐそんなわかるのだろう?(一応隼が元警察という設定はあるが)

マフィアに捕まった龍一が、マリオ水原(津川雅彦)のパーティーの場で殴ってどれだけ吹っ飛ばせるかというゲームのエジキにされる。

その際律義に距離計って「3メーター50!」とかやってるのも馬鹿馬鹿しくて笑った。

この嘘くさい、胡散臭い敵のマフィア組織の感じ、のちのジャッキー・チェンとかの香港映画的なテイストを感じる。

アクションシーンは本格的でカッコいいけど、ストーリー展開はもうこの辺からめちゃくちゃ。

舞台は都合よく崖へと移り、敵に車ごと突き落されたがなんとか木の枝にぶらさがった龍一がかぎなわをなげるとなんとローンウルフの太股にヒット!

それでそのまま崖をよじ登ってしまうんだから、これはもはや安岡力也がすげえんじゃねえか!ってことになる。

このくだらなさの中でも一切ブレずに真剣にやり切る千葉真一という男がど真ん中に軸として存在するので、安心してやいのやいの突っ込みながら見ることができるのである。

千葉さん、最高です。

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